パーソンズ理論の体系的再評価にもとづく現代社会論の構築

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14310103
• 研究機関: 法政大学
• 研究代表者: 徳安 彰 法政大学, 社会学部, 教授 (30188742)
• 研究分担者: 油井 清光 神戸大学, 文学部, 教授 (10200859) ; 盛山 和夫 東北大学, 大学院・人文社会系研究科・文学部, 教授 (50113577) ; 高城 和義 東北大学, 大学院・文学研究科・文学部, 教授 (00085953) ; 挾本 佳代 成蹊大学, 経済学部, 助教授 (70365831) ; 佐藤 成基 茨城大学, 人文学部, 助教授 (90292466)
• キーワード: パーソンズ / モダニティ / アーカイブズ / 国際情報交換 / アメリカ / 社会共同体

研究概要

1.平成14年度の研究の成果公表
平成14年12月7日〜8日に開催した「タルコット・パーソンズ生誕百年記念シンポジウム」に基づいて、研究分担者および研究協力者(計21名)による論文集を作成した。この論文集は、現代社会における諸問題(とくにモダニティ、宗教、医療など)に対するパーソンズ理論の意義、またパーソンズ理論の理論的・学説史的意義について考察している。平成16年3月に、富永健一・徳安彰(編)『パーソンズ・ルネッサンスへの招待』(勁草書房)として刊行予定である。
2.ハーバード大学アーカイブズ資料研究
平成14年度に行ったハーバード大学アーカイブズ調査に基づき、収集したパーソンズの未公刊資料の整理を行った。また、その中でとりわけ重要と思われるToward the American Societal Communityの草稿について、研究分担者および研究協力者による各章の内容の検討、あるいは草稿の構成の経緯についての検討を行った。理論的には、とくに晩期パーソンズの理論における社会共同体の概念の重要性が確認された。平成16年3月に、あらためてハーバード大学でフォローアップ調査を行い、同草稿の研究の深化をはかる予定である。
3.内外のパーソンズ研究者・社会学理論家との交流
現代社会論に重点を置いて、研究分担者および内外の研究協力者(計16名)と定期的な研究会を開催した。とくに平成15年9月1日〜2日には、イギリスのブライアン・ターナー教授(ケンブリッジ大学社会科学・政治学部)によるパーソンズ理論と現代社会に関する講演を開催し、国際的な研究交流を行うことができた。この研究会の成果は、平成16年中に論文集として刊行すべく、作業を進めている。

研究成果

• [文献書誌] 徳安 彰: "書評論文:数土直紀『自由の社会理論』"社会学評論. 54巻・2号. 192-199 (2003)
• [文献書誌] 油井 清光: "ホロコーストとユートピア--構造・機能主義の誕生とシュッツ"年報・社会科学基礎論研究. 3号(予定). (2004)
• [文献書誌] 佐藤 成基: "国民国家とは何か"茨城大学政経学会雑誌. 74号(予定). (2004)
• [文献書誌] 徳安 彰(共著): "パーソンズ・ルネッサンスへの招待"勁草書房(予定). (2004)
• [文献書誌] 高城 和義: "パーソンズとウェーバー"岩波書店. 225 (2003)
• [文献書誌] 高城 和義(共著): "福祉の人間学"勁草書房. 300 (2004)
• [文献書誌] 盛山 和夫(共著): "高田保馬リカバリー"ミネルヴァ書房. 269 (2003)
• [文献書誌] 盛山 和夫(共著): "日本の所得格差と社会階層"日本評論社. 267 (2003)
• [文献書誌] 盛山 和夫(解説): "勢力論 高田保馬・社会学セレクション"ミネルヴァ書房. 376 (2004)
• [文献書誌] 盛山 和夫(共著): "福祉の公共哲学"東京大学出版会. 324 (2004)
• [文献書誌] 油井 清光(共著): "マクドナルド化と日本"ミネルヴァ書房. 317 (2004)
• [文献書誌] 油井 清光(共訳): "T・パーソンズ 知識社会学と思想史"学文社. 122 (2003)
• [文献書誌] 挾本 佳代(共訳): "S・ユーウェン PR!--世論操作の社会史"法政大学出版局. 616 (2003)