研究課題/領域番号 |
14310112
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
前川 久男 筑波大学, 心身障害学系, 教授 (50165635)
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研究分担者 |
東原 文子 聖徳大学, 人文学部, 講師 (60272150)
熊谷 恵子 筑波大学, 心身障害学系, 助教授 (10272147)
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キーワード | 学習障害 / 算数 / 高次認知機能 / 基礎的算数スキルテスト / 日本版DN-CAS |
研究概要 |
平成15年度は、学習障害児の算数困難の背景にある認知機能を評価するための検査バッテリーの一つとしてプラニング、注意、同時処理、継次処理といった高次認知機能の個人差を評価する検査バッテリーを開発することを第1の目的として研究を行った。また同時に数学的操作の獲得段階を明らかにする研究を行った。 1)高次認知機能検査バッテリーの開発 アメリカで標準化され、学習障害児や注意欠陥多動性障害児の高次認知機能の評価に利用されてきているDN-CASの日本版の作成のための予備実験を実施した。そのためDN-CASの下位検査の日本版を作成し、小学生と中学生約200名に日本版DN-CASを実施し、各下位検査の発達的妥当性を検討した。さらに問題項目の妥当性と配列決定をおこなった。同時に、注意欠陥多動性障害をもつ児童11名にDN-CASを実施し、その高次認知機能の特徴を検討した。その結果、注意欠陥多動性障害をもつ児童においては、その多くが注意ならびにプランニングに困難をもつことが示され、また一部同時処理や継次処理に困難をもつ学習障害を主とした問題から、症状として注意、多動などの行動上の問題が二次的現れていると考えられる児童の存在も示唆された。 2)数学的操作の獲得段階の評価 基礎的算数スキルをDenvir & Brown(1986)の研究を基に、新たに複数のスキルを同一問題から評価する問題を作成し、基礎的算数スキルの獲得段階を短時間に評価できるテストを構成した。そのテストを2名の学習困難児に実施した結果、学習困難を引き起こす課題が明確になり、指導を焦点化できることがしめされた。
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