研究分担者 |
塚原 修一 国立教育政策研究所, 高等教育研究部, 総括研究官 (00155334)
濱名 篤 関西国際大学, 人間学部, 教授 (90198812)
吉田 文 東京大学, メディア教育開発センター, 教授 (10221475)
矢野 眞和 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (30016521)
EARL Kinmonth 大正大学, 人間学部, 教授 (70317642)
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研究概要 |
1年目・2年目はそれぞれ研究会を重ね、国際ワークショップを開催して、考察を深めた。1年目は主として問題の所在を確認し、2年目が比較・歴史の視点からの考察事例を増やし、各自のテーマの作業の報告をおこなった。3年目は研究会やワークショップを通じて得られた知見をベースにして,成果報告書の作成に向けて,各人の研究成果を取りまとめるための研究会を定期的に開催するとともに,2年度目に実施したアジアにおける産業発展やそのなかでの教育政策の変動について理解を一層深めることを目的として,中国,韓国の訪問調査を実施した。得られた結果は以下の3点である。 第1に、産業・労働政策と教育政策の整合・葛藤という本研究を包括するテーマの遂行にあたっては,近年産業化が進むアジアでは、高等教育を中心に、グローバル化の圧力が、旧来の教育システムを変容させつつあり、経済システムの変容との間にズレが生じていることが確認された。 第2に、急速な近代化=産業化,それにともなう高等教育需要の拡大を経験している中国,韓国は,アメリカ,イギリスなどの英語圏が主導するグローバル化の波に巻き込まれており、市場原理と未来先取り的な原理の採用とによって、急速な多様化が進展している。それは、一方では勃興しつつある産業との整合性を産み出すものであるが、他方では、既存の高等教育の機能の衰退や混乱も招来していることが明らかになった。 第3に、歴史的な視点も含めて、教育システムと産業労働システムの間には、必ずしも密接なマッチングだけが望ましいわけではないことが示唆された。すなわち、むしろ、それぞれのシステムに固有の自律性を持った時間軸での変化がシステム間のズレを生じさせるにせよ、長期的にはむしろそのズレが、両者のシステムの関連構造のイノベーション機能を果たして、高いパフォーマンスをのこす場合があることが明らかになった。
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