研究課題/領域番号 |
14310125
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
新谷 恭明 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (10154402)
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研究分担者 |
荻野 喜弘 九州大学, 大学院・経済学研究院, 教授 (30160790)
植田 信廣 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (70125996)
有馬 學 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (80108612)
折田 悦郎 九州大学, 大学院・人文科学研究院(大学史料室), 助教授 (10177305)
東定 宣昌 石炭研究資料センター, 教授 (90136565)
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キーワード | 九州大学 / アーカイヴス / 大学文書館 / 大学改革 / オーラル・ヒストリー |
研究概要 |
現在の大学は様々な問題を抱えている。なかでも国立大学はいわゆる国立大学法人化を目前にして、未曾有の困難に直面している。このような状況下にあって、多くの大学ではいわゆる大学「改革」を行っているが、このうち旧帝大系の大学を中心にして、大学アーカイブセクション(大学史料室、大学文書館)の設置がなされていることは注目すべき対応の一つといえよう。 本研究は、このような認識に基づき、九州大学における実際の大学「改革」を記録するとともに、「改革」と大学アーカイヴスとの関連、アーカイヴスの役割について考察することを目的としている。このうち、大学アーカイヴスについての現状分析や理論研究等については、後掲の「研究発表」にも記したように、九州大学大学史料室や京都大学大学文書館、名古屋大学史資料室等の「紀要」や「研究会」等で発表を行った。なかでも折田悦郎「国立大学におけるアーカイブの設置とその機能」(『京都大学大学文書館紀要』1号)は、現在の国立大学アーカイヴスについての包括的な研究である。 次に、実際の大学「改革」に関しては、九州大学を中心に各大学での自己点検・評価報告書等の収集を行ったほか、九州大学の元副学長に延10時間に及ぶインタビューを行った。そしてこの聞き取り作業は現在も継続中である。「大学や公的な機関が、しかるべき業績を残したと思われる人に、そのライフヒストリーを語ってもらうこと、すなわち政策形成や遂行にかかわる公職に在職した人々の公的体験を、長時間のインタビューによって体系的、系統的に速記録の形で残していく」(折田前掲論文)という、いわゆる「オーラル・ヒストリー」の手法を用いたもので、「速記録」は稿本の形でまとめられている。なお、インタビューの対象となった元副学長は、10年近くにわたって大学「改革」、例えば大学キャンパスの移転計画、「学府・研究院」制度の創設等に直接関わった人であり、その「オーラル・ヒストリー」の史料的価値は極めて高いものと思われる。次年度は、これらの基礎史料を基にアーカイヴスと大学「改革」との関係や、大学の中にアーカイヴスをどのように位置付けるのかといった問題たっいて考えてみたい。
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