研究課題/領域番号 |
14310130
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
堀内 達夫 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40135273)
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研究分担者 |
横尾 恒隆 岩手大学, 教育学部, 助教授 (30220544)
伊藤 一雄 高野山大学, 文学部, 教授 (00319930)
佐々木 英一 追手門学院大学, 人間学部, 教授 (30125471)
佐藤 史人 和歌山大学, 教育学部, 助教授 (80324375)
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キーワード | 技術・職業教育 / カリキュラム / 日本:フランス:アメリカ:ドイツ |
研究概要 |
今年度の研究は、前年度と同じく技術・職業教育の国際類型に従って、学校タイプのアメリカ(9月)及び学校と企業の連携タイプであるドイツ(2月)について現地調査を行った。これと並行して、日本の職業教育では、新学習指導要領の初年度に対応した新カリキュラム編成について、高校の教師を研究会議に招いて、その実情を詳しく知ることができた。また、学校後タイプに属する職業能力開発のカリキュラム開発についても、講師を招いてその実際を知ることができた。 まず、アメリカ調査では、ミシガン州デトロイト市周辺のミドル・スクール、地域キャリア・専門センター及び総合制ハイ・スクールを数校訪問し、技術・職業教育カリキュラム開発に対する聞き取り調査を行った。この結果、技術・職業教育カリキュラムを時代に即応したものとしていく方策として、1.現職教員に対する各種の研修、2.企業の代表者も参加する「諮問委員会」の設置などが明らかになった。つぎに、ドイツ調査では、ノルトライン・ヴェストファーレン州ケルン市周辺の職業カレッジ等を訪問した。そこで確認できたカリキュラム改革の特徴は、以下の通りである。1.1990年代後半から、従来のような州レベルでの学習内容のしばりを大幅に緩め、各学校の裁量を認めるようになっていること。2.その背景にある教授理論は、「行為に向けた教授」(handlungsorientierter Unterricht)である。これは、知識の細切れの詰め込みではなく、知識を実際の社会的状況の中で獲得、活用できるように学ぶことができるような教授法である。3.これを受け、時間割も大くくりにした、自由度の高い形で設定されている。 第三に、日本の高校における新カリキュラム編成では、京都市、神戸市、和歌山市、尼崎市の高校を取り上げて、商業系、総合学科に関する事例研究を行った。とくに商業系高校では、前年度に取り上げた工業科と同じく、あるいはそれ以上に変化の大きな「特色ある教育課程」の編成、総合的な学習の時間の活用、大幅な学校設定教科・科目の導入が見られる。最後に、職業能力開発におけるカリキュラム開発では、離転職者向けに短期システム・ユニット訓練が導入されており、地域ニーズへの対応が図られている。 以上、国際的に見て、専門カリキュラム編成における「特色ある」多様化、地域性、学校裁量の拡大などその特徴を指摘できる。
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