研究課題/領域番号 |
14310133
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
高野 良一 法政大学, 文学部, 教授 (40175427)
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研究分担者 |
中嶋 哲彦 名古屋大学, 大学院・教育発達科学研究科, 教授 (40221444)
岩永 定 鳴門教育大学, 教育学部, 教授 (90160126)
坪井 由実 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (50115664)
山下 晃一 和歌山大学, 教育学部, 助教授 (80324987)
小松 茂久 相愛大学, 人文学部, 教授 (50205506)
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キーワード | 学校統治 / アカウンタビリティ / 教育特区 / チャータースクール / 学校評価 / 地方教育行政 |
研究概要 |
3年研究の初年度である平成14年度は、研究組織の確立、文献調査を中心とする先行研究の整理、アメリカ現地の予備調査の3つの柱をたてて共同研究を実施した。 このうち前2者については、研究会合宿と研究会を実施して、報告、議論、計画決定をおこなった。合宿は4月の第1回は東京・法政大学、11月の第2回は神奈川県・箱根で実施し、第1回は主として研究組織の確立と3年計画の見通しを議論し決定した。また、そこでは、共同研究を著作として公表するために、各自の分担について相互に報告しあった。第2回では、ゲストに東京大学大学院教授・小川正人氏を迎え、日本の教育改革の現状を報告していただき、教育改革の日米比較をテーマに参加者とディスカッションがなされた。加えて、2003年1月には上越教育大学助教授・荻原克男を報告者に迎え、教育政策の日米比較をテーマに研究会を開催した。 文献調査、とくに先行研究の整理では、共同研究者と研究協力者が個別に進めるとともに、研究代表者が一括して図書の購入や整理を行った。例えば、チャータースクール、SBM(学校を基礎とした経営)、学校選択などをキーワードとしたアメリカのドクター論文の収集、および各州教育法のデータベース(CD)の整備に努めた。 アメリカ現地の予備調査については、研究協力者をふくめ3名が、個別に調査計画に基づき実施した。調査地点は、ミネソタ州、ウイスコンシン州、ミシガン州、マサチューセッツ州、それにフロリダ州に及んでいる。調査内容としては、チャータースクールと教育財政が主な対象である。 こうした調査結果は、研究会合宿で報告されるとともに、個別論文として公表されている。例えば、高野良一「小さなチャータースクールの現実と可能性」(『法政大学文学部紀要』48号)、同「アップル教授への質問:小さなチャータースクールの可能性」(日本教育行政学会2002年度研究大会公開シンポジウム資料)などである。また、研究協力者などとともに、日本教育学会2002年度研究集会(福岡教育大学)で、ラウンドテーブルも開催した(「チャータースクールの多様性と可能性」)。このほか、共同研究者は、個別に学会発表や論文公表を旺盛に行っている。 以上の研究活動を通じて、本基盤研究のテーマである「学校統治と学校責任」の分析の到達点は、日米において教育の公共性と市場化が焦点となっていること、しかも両者は背反するものでなくその接合させる試みも存在すること、しかし支配的な動向としては市場化の側面が強まりつつあることなどが確認され、これらのさらなる検証が次年度の調査課題として引き継がれた。
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