研究課題/領域番号 |
14310134
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育学
|
研究機関 | 桜美林大学 (2003-2005) 武蔵野大学 (2002) |
研究代表者 |
潮木 守一 桜美林大学, 国際学研究科, 教授 (80022391)
|
研究分担者 |
浜野 隆 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (00262288)
野田 真里 中部大学, 国際関係学部, 助教授 (90334995)
中井 俊樹 名古屋大学, 高等教育研究センター, 助教授 (30303598)
金子 元久 東京大学, 大学総合研究センター, 教授 (10185936)
大塚 豊 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (00116550)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2005
|
キーワード | ベトナム / 初等教育 / 開発途上国 / 万人のための教育(EFA) / 教育開発 / 教育財政 / 基礎教育 |
研究概要 |
本研究においては、ベトナムを事例として、初等教育の普遍化戦略を検討した。初等教育就学率がすでに95%という高水準に達した国が、最後に残された5%の児童に初等教育を普及させるには、それまでの段階とは異なった手段が必要となる。最後に残された5%の児童は、僻地地域の児童、都市貧困家庭児童、障害者、少数民族児童など、様々である。こうした各種多様な状況に対応するには、中央政府のみならず、省、あるいはより下位の行政体の実態把握能力を高め、教育計画立案能力を高めることが必要である。 現時点においては、初等教育の普遍化とその質的向上の鍵を握るのは、コミューン・レベルのコミットメントである。現在、地域住民、父母はかなりの経済負担を負いながら初等教育を支えている。つまり校舎の建設、補修、増設、臨時教員給与などは、ほとんど地域住民と親の重い負担となっている。しかし、こうした状況が近いうちに解消される見込みはかなり低い。そうである以上、これまで維持されてきたコミューン・レベルでのコミットメントを維持し、さらに強化する必要がある。 本研究においては、省単位で経済水準、教育の普及程度などの諸指標と、全日制教育の導入の程度との相関関係を見たが、ほとんど相関が見出せなかった。これは省といった単位ではなく、コミューン・レベルでのコミットメントこそが鍵であることを示唆している。 コミューンでの初等教育の普及と充実に決定的な役割を演じるのは、(1)コミューンの経済力、(2)コミューンのリーダーの意欲・教育熱、の二つである。村それ自身の経済力のにわかな改善は期待できないが、大きな役割を演じているのが「教育の社会化運動」である。これは民間レベルでの創意工夫に基づいた活動で、各種各様な初等教育を支援する活動が展開されている。中央政府に十分な資源がない間は、こうした民間レベルでの活動の支持が重要な役割を果たすものと思われる。
|