研究課題
平成14年度より導入された指導要録では絶対評価及び個人内評価が重視されるようになり、これに備え、国立教育政策研究所教育課程研究センターが中心となって小学校及び中学校向けの『評価規準、評価方法の研究開発(報告)』(平成14年2月28日)が作成された。しかし、その運用や実践方策等に関しては各学校関係者に任されており、早急な研究開発が急務とされている。このような現状において、本研究においては、従来の標準テストに代わる新たな評価法としてのポートフォリオ評価(portfolio assessment)に着目し、その理論的検討とともに実践レベルにおける具体化方策の検討を行い、評価の新たな3つのねらい、すなわち(1)単元レベルでの教育効果の判定と評価規準の運用及び指導要録とのつながり、(2)指導と評価の一体化、及び(3)児童・生徒の自己学習の促進に資する評価の在り方に関する基本モデルを提示することを目指している。このため、平成15年度においては、14年度における研究を継続することにした。その際、平成14年度とは異なる新たな計8つの小学校と4中学校の協力を得、小学校生活、国語、社会、算数、体育、特別活動、中学校数学、理科、中学校数学、理科、音楽、技術、英語の各教科を取り上げ、上記(1)〜(3)の統一的な実現を意図した授業と評価の開発的研究を進めた。そして、その成果を『ポートフォリオ評価を活用した指導の改善、自己学習力の向上及び外部への説明責任に向けた評価の工夫(第二次報告書)』(平成16年3月)と題してまとめ、公表した。最終年度に当たる次年度においては、14、15年度において取り組むことが出来なかった教科・領域、さらには小-中学校のいずれかにおいてしか取り組めなかった教科・領域を中心に、上記の授業と評価の開発的な研究を行うことにしている。