研究課題/領域番号 |
14310146
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
嶋田 義仁 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (20170954)
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研究分担者 |
阿久津 昌三 信州大学, 教育学部, 助教授 (30201883)
井関 和代 大阪芸術大学, 芸術学部, 教授 (60073285)
下休場 千秋 大阪芸術大学, 芸術学部, 教授 (20196570)
松田 素二 京都大学, 文学研究科, 教授 (50173852)
和崎 春日 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (40230940)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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キーワード | 部族的アフリカ / 王国のアフリカ / 不平等階層性 / 多部族的地域形成 / 日本のアフリカ研究 / 国家形成 / 乾燥地 / 移動・運搬手段 |
研究概要 |
本研究の成果の第一は、「部族的」と見られていた植民地化以前のアフリカ社会には「王国のアフリカ」という側面も色濃くあり、同時に現在の国民国家体制下においても多数の伝統王国・伝統首長制社会が存続し、政治経済的にさらに教育などの民生面において重要な役割を果たしていることを明らかにしたことであった。 第二には、伝統王国・伝統首長制社会の形成を、不平等階層社会という観点のみならず、多部族あるいは超部族的な地域社会形成という新たな側面から考察したことであった。この視点から王国・首長制社会形成を考察して得られた特に大きな成果は、国家形成をアフリカ固有の生態構造関連づけることによって、アフリカに国家形成が未成熟と考えられてきた理由と、アフリカ固有の国家形成の論理とがあきらかになったことである。アフリカ大陸は中央部に熱帯雨林をかかえ、周辺部に草原や砂漠などの乾燥地が広がるが、国家形成の適地は、乾燥地である。乾燥地は、物資や人の移動・運搬手段ばかりでなく、軍事手段ともなる家畜が分布する上に、森や川などの自然の要害がすくないからである。そのような乾燥地がアフリカ大陸の場合周辺部にしか存在しなかった。それ故、アフリカの国家形成は周辺部中心にすすめられた。 第三の成果は、富川盛道と日野舜也を中心にすすめられたわが国の人文社会学的なアフリカ研究が、「部族的アフリカ」像の根本的再検討をあきらかにすべく営々と現地調査を積み上げてきた歴史であることを明らかにしたことにあり、それを世界にまとめて発信すべく、富川・日野のこれまで分散的に発表されてきた欧文論文を中心にアフリカ伝統王国論集全5巻を編集した。 欧文論集発刊と平行して、国際共同研究の推進にも努力し、カメルーン、マリのみならず、イタリアやドイツ、フランスとの研究交流を深化させた。
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