研究課題/領域番号 |
14310150
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
渡辺 公三 立命館大学, 大学院・先端総合学術研究科, 教授 (70159242)
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研究分担者 |
スチュアート ヘンリ 放送大学, 教授 (50187788)
西 成彦 立命館大学, 大学院・先端総合学術研究科, 教授 (40172621)
江川 ひかり 立命館大学, 文学部, 助教授 (70319490)
澤田 昌人 京都精華大学, 人文学部, 教授 (30211949)
岩崎 グッドマン まさみ 北海学園大学, 人文学部, 教授 (50305893)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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キーワード | 歴史生態学 / 政治生態学 / 文化生態学 / 環境史 / 先住民権 / 土地請求権 / 環境影響評価 |
研究概要 |
本研究プロジェクトは成果報告書に付録として掲載した「申請書抜粋」が示すとおり「土地」をめぐってかなり広範な問題を見直してみようというものであった。その動機は研究代表者個人にとっては、現代人類学の主要な潮流であった構造主義のひとつの峰ともいえるレヴィ=ストロースの『神話論理』の問題提起を受け止めるために、異なったふたつの視点からこの峰を照らし出してみようということにあった。レヴィ=ストロースの神話研究を、生活の場と環境に埋め込まれた世界把握のありかたを内在的に理解する方法の探究であると見なせば、この人間と環境の関係の外部に、人間と人間の広い意味での政治関係と、外部世界との世界史の関係が広がっている。 これはたいへんおおざっぱな見方にすぎないが、『地球環境問題の人類学』(2003年、世界思潮社刊)で編著者の池谷和信氏が提起している視点とも呼応すると考えている。その序章では、生態という軸を通すために「文化生態学」「政治生態学」「歴史生態学」という三つの生態学の視角から地球環境問題を再検討することが提案されている。世界観をそれが埋め込まれた生態に内在して把握することが「文化」生態学であり、そこに政治と歴史が交錯するという視点である。同様に、文化と政治と歴史が干渉しあう場としての土地環境という地平のなかで、先住民権や「伝統的」世界観という主題やそれらをとらえる方法としての人類学、歴史学、社会経済史の有効性を検証することが本プロジェクトの共有された問題意識だった。 研究分担者の崎山政毅、澤田昌人、スチュアートヘンリ、江川ひかり、岩崎・グッドマンまさみ各氏および代表者渡辺公三による分担テーマに関する報告のほか、協力者として参加した、院生、PD、の佐藤奈奈、佐々木祐、高村竜平、中田英樹の各氏が貴重な寄与をおこない、共有された問題意識をそれぞれのフィールドデータによって検証した。その結果、継続すべき研究課題として、長期的なスパンで狭義の生態系への影響をふくめた歴史的変化の把握・分析手法、変化の評価方法の重要性である。 そのような意味で、アラスカの漁業、北海道のアイヌの伝統的知識の再構築等、多岐にわたる口頭報告で寄与いただいた岩崎氏の論文は、とりあげていただいた個別の問題が将来的に収斂してゆく「環境影響評価」という問題にかかわる最新の動向を詳細に紹介し検討し、プロジェクトの問題意識の今後の展開のひとつの方向を示している。
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