研究課題/領域番号 |
14310153
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 敏子 東京大学, 史料編さん所, 助教授 (80151520)
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研究分担者 |
高橋 慎一朗 東京大学, 史料編さん所, 助手 (10242158)
山家 浩樹 東京大学, 史料編さん所, 助教授 (60191467)
久留島 典子 東京大学, 史料編さん所, 教授 (70143534)
馬田 綾子 梅花女子大学, 文学部, 教授 (10131484)
池田 好信 京都府立総合資料館, 歴史資料課, 資料主任(研究職)
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キーワード | 阿刀家伝世史料 / 阿刀文書 / 東寺執行 / 東寺凡僧別当 / 東寺光明真言講過去帳 |
研究概要 |
1、今年度は、表記の課題研究のための基礎的な史料として、それぞれの史料所蔵機関の協力を得て、「東寺光明真言講過去帳」「東寺光明真言講現在帳」の江戸時代の写本(東寺)、東寺執行家に伝わった「阿刀家伝世資料」のうち特に江戸時代の「東寺執行日記」や補任類(京都国立博物館)、東寺の子院宝厳院の南北朝から室町時代にかけての院主であった宏寿による記録「宏寿法印御聞書」(京都大学附属図書館)、散逸していた文明15年「東寺凡僧別当引付」(筑波大学附属図書館)、江戸時代の加賀前田家による東寺文書調査の記録である「東寺古文書目録(東寺東宝蔵書品目録)」(東洋文庫)等の史料の撮影と紙焼きによる収集を行なった。 2、これらの史料についての分析はなお継続中であるが、現在のところ最も大きな成果があったのは「阿刀家伝世資料」である。執行職を相伝した阿刀家の史料については、これまで影写本「阿刀文書」のみが基木史料であったが、近年京都国立博物館所蔵となった「阿刀家伝世資料」中には、影写本にはみられない史料が多数存在するほか近世史料も多く、その中に中世以前の史料の書写もみられ有用である。この「阿刀家伝世資料」を利用することによって、従来ごく簡略な系図等によってしか判明せず、また相論によって補任状況がはっきりしなかった部分もある東寺執行の相伝について、古代から近世に至るまでの補任状・譲状等の史料をもって裏付け、実証的に解明することができた。こうした課題は、「東寺百合文書」の分析のみでは解明し得なかった問題であり、そのほか、たとえば執行の職務等についても、「百合文書」の世界とは違った側面がみえてきている。 3、以上を踏まえて、次年度以降は、さらに執行関係史料の収集・分析を継続するほか、今年度データの入力を進めた「東寺光明真言講過去帳・現在帳」の分析、また凡僧別当方史料の収集等に重点をおいて進めていきたい。
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