研究課題/領域番号 |
14310155
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
加藤 千香子 横浜国立大学, 教育人間科学部, 助教授 (40202014)
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研究分担者 |
沈 潔 浦和大学, 総合福祉学部, 教授 (20305808)
江上 幸子 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 教授 (90277955)
GROVE Linda 上智大学, 比較文化学部, 教授 (20296891)
李 ひょん娘 中央大学, 総合政策学部, 助教授 (20328032)
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キーワード | 女性史 / 良妻賢母 / 東アジア / 植民地 / 国民国家 |
研究概要 |
今年度は、昨年度に引き続き、「国民国家形成期の東アジア諸国・地域における女性像」をテーマに掲げ、共同研究を進めた。具体的には、国民国家形成過程と不可分に進行する女性をめぐる規範や理想とされるモデルについての言説の形成と変容について、研究分担者・研究協力者が、日本、中国、朝鮮及び「満洲国」といった東アジアの対象地域をそれぞれの分担に即して研究を行った。 この共同研究の成果として、今年度において特筆すべき点は、8月に北アイルランド・ベルファストで開催された「女性史国際会議」(女性史研究国際連盟主催)で、一つのパネルをもつことができたことである。同パネルでは、「国民国家形成期の東アジア諸国における女性/母親像」をタイトルに掲げ、イ・ヒョンナン「朝鮮開化期における『賢母良妻』論」、加藤千香子「近代日本の『女工』観」、江上幸子「1930年代中国における『婦女回家』論争」、沈潔「つくられた『満洲国』の新女性」の報告を行った。また、メンバーのリンダ・グローヴが司会を、ホン・クムジャがコメンテーターをっとめた。パネル報告のキーワードとなったのは「良妻賢母」であるが、それが日本・中国・朝鮮・満洲国それぞれの固有の政治課題の要請の下で独自に創出され変容が見られるという点を、実証的にクローズアップすることとなった。また、同パネルのほかにも、研究協力者である早川紀代は招待報告者として、「日本軍『慰安所』被害女性と加害国日本の女性」をテーマとした講演を行っている。 さらに、2月には、「東アジア儒教文化と女性」をテーマとしたミニ・シンポジウムを東京、上智大学にて開催した。そこでは、韓国から李培鎔教授(梨花女子大)を招聘し、「朝鮮時代の儒教文化と女性の地位」の講演を行ったほか、日本史・中国史の研究者からのサブ報告を得たが、多くの研究者の参加を得て大変活発で有意義な議論がもたれた。
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