研究課題/領域番号 |
14310165
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
日本史
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研究機関 | 大手前大学 |
研究代表者 |
岡 佳子 大手前大学, 人文科学部, 助教授 (50278769)
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研究分担者 |
切畑 健 大手前大学, 人文科学部, 教授 (80000363)
牧野 宏子 関東学院大学, 人間環境学部, 助教授 (50219309)
牛山 佳幸 信州大学, 教育学部, 教授 (60176659)
高木 博志 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (30202146)
岡村 喜史 龍谷大学, 文学部, 助教授 (50340493)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2005
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キーワード | 尼門跡 / 比丘尼御所 / 尼寺 / 尼僧 / ジェンダー / 女性 / 霊鑑寺 / 中宮寺 |
研究概要 |
本研究では近世の比丘尼御所を前身とする京都・奈良の尼門跡寺院の調査と、日本の女性と仏教研究をテーマにした尼寺文書研究会を開催した。尼門跡調査に関しては霊鑑寺・中宮寺・慈受院において、13回の調査を実施し、うち霊鑑寺はほぼ調査を終了したが、他の二ケ寺の未だ調査中である。調査対象は近世・近代文書であったが、慈受院では染織品調査も行った。調査期間中に上記3ケ寺及び、光照院のデータ入力を行った。その結果、光照院目録を完成させ、報告書に解題とともに収載した。他の3ケ寺に関しては調査成果と史料紹介を報告書に掲載した。調査期間中に7回の尼寺文書研究会を開催し、研究代表者・分担者のみならず、内外から研究者を招聰し、尼寺調査の成果、古代・中世の尼と尼寺、中国の尼僧、尼寺蔵の染織品などについて活発な報告が行われた。この内容も報告書に詳述した。 光照院・霊鑑寺・中宮寺・慈受院の尼門跡調査・研究によって、一寺院の調査や重要文書の抽出調査では事足りないことを我々に教えてくれた。各尼寺に残存する文書群の相違から、皇女・公家の女性たちが入室する比丘尼御所の異なった性格、多様性、地域性が明確となった。尼門跡文書は近世・近代の尼僧が思想や行動を、女性自らの手で具体的に記述した点に特色をもつ。寺蔵の美術工芸品は彼女らが使用した文化財であり、在俗の女性たちが帰依の証に寄進したものである。尼僧たちは自らの救済のために信仰を深め、尼寺を維持・経営するために積極的に社会に関与し、周辺の女性たちもそこに参画した。宗教とジェンダーの問題を考える上で、尼門跡調査の果たした意義は大きい。 女性と仏教をテーマとした尼寺文書研究会は、古代から近代まで、美術工芸史・中国史、在外の研究者の報告を含む多彩なものとなったが、実際の調査を通じて近世・近代の女性と仏教の関わりを体感しているわれわれにとって、時代や分野を超えて、この問題が共通の側面をもつことを深く認識された。 とくに近世・近代の尼寺と尼研究は、古代・中世に較べて遅れており、調査研究の成果が、日本の女性と仏教の空白を埋めるのに有効な手立てとなるであろう。
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