研究概要 |
角田研究代表者の全体統括の下,仁和寺所蔵典籍の実地調査を2回,のべ12日実施した(平成17年6・9月)。主対象とした自然科学系書目は書籍第184箱所収の諸書で,陰陽易学書として『五行大義』,『〓〓内伝』,『易学啓蒙』,『太極図説諺解』,『卜筮元亀』,『天易霊通章』,『梅花心易掌中指南』(いずれも版本),天文暦学書として『天文図解』,『宣明暦』,『仏国暦象編』,『授時暦経』,『暦学正蒙』,『古暦便覧』(いずれも版本),医学書として『運気論奥疏鈔』(版本)などが収められていることを確認できた。平成14〜16年度に所在を確認しながら調査できなかった書目としては,歴史書として第160箱の『玉葉』(写本),法制書として第173箱の『延喜式』(版本),第174箱の『令義解』(版本)・『令集解』(写本)を調査した。この調査によって得た資料(調書及び写真)を研究所に持ち帰って整理し,本文及び書写・校合奥書の両面から,今日までに知られている代表的な翻刻と比較検討しつつ,データベース化作業を行った。そして,平成14年度から調査した書籍第122〜129・151〜154・156・157・159〜162・173〜175・177・184箱,合計23箱に収められた各典籍ごとの形状,料紙,法量,時代,保存状況,内容・奥書・刊記等について詳記する調査目録を完成した。その記載内容が新訂増補国史大系本『尊卑分脈』頭注と合致するばかりでなく,歴史研究資料として貴重な黒塗手箱『系図』については,関口研究分担者が「仁和寺本『系図』の研究・翻刻」と題する調査研究の発表を継続しつつ,完結の目処を付けた。
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