研究概要 |
本年度は、楠木担当の「清朝皇帝一族とモンゴル王公の政治統合,及び政治統合に基づき編成された軍事力の実態解明」と,山本担当の「広西少数民族地域の土地政策と少数民族文化変容の分析」を重点的に推進した。 楠木は7〜8月に中国第-歴史档案館で満文档案「崇徳元年封王貝勒書」などを調査し,分析の結果,太宗ホンタイジに対する服従への規范意識が内モンゴルの王公らに形成されていたこと,及びホンタイジの対モンゴル政策が崇徳元年に冊立されたモンゴル諸王の冊文中に凝縮されていることを明らかにし,研究論文として公にした。また「刑法部貽谷案」「康煕朝満文〓批奏摺」など中国第一歴史档案館所蔵档案のマイクロフィムルや影印本を収集し,各研究者が本研究課題を推進するための史料状況を整備した。 山本は中国北辺でなされた満・蒙・漢の政治統合と文化変容という現象の比較座標として,広西を取り上げ,漢族・壮族間の土地問題及び政府の土地政策を明らかにするため,8月に広西壮族自治区図書館で史料調査を行い,その成果を研究論文として公にした。 松本は丸山とともに,宗教政策・国家儀礼から清朝の多様性と政治統合を分析するため,比較座標として北狄と対時し中華を標榜した北宋徽宗の宗教政策を分析し,松本は成果を研究論文として公にした。 片岡は満・蒙・漢の旗人の重層的な文化変容が,どのように彼らが受験する科拳に反映されているかを明らかにするため,科挙の種類と対応する試験科目について分析した。
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