宋代以降の中国における集団とコミュニケーション

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14310171
• 研究機関: 広島大学
• 研究代表者: 岡 元司 広島大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (10290777)
• 研究分担者: 遠藤 隆俊 高知大学, 教育学部, 助教授 (00261561) ; 須江 隆 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (90297797) ; 平田 茂樹 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (90228784) ; 青木 敦 大阪大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (90272492) ; 井上 徹 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20213168)
• キーワード: 宗族 / 墓 / 祠廟 / コミュニケーション

研究概要

平成14年度は、初年度として、各自の国内外における史料調査に重点をおいた。とくに国外における史料調査としては、井上徹が中国社会科学院・北京図書館等にて、遠藤隆俊・中島楽章が北京図書館等にて史料調査をおこない、また須江隆が浙江省各地での墓・史料の調査等をおこなった(この際、研究代表者の岡元司も私費で同行した)。
また、本科研の申請書でも強調したように国際レベルでの研究を推進するため、国際学術交流にも力点をおき、平成14年7月には、宋代宗族研究に関する専著を近々出版予定のヒュー・クラーク教授(米国アーサイナス・カレッジ)に広島大学での講演会をおこなっていただいた。その講演と討論内容については、『広島東洋史学報』第7号(2002年)に収録した。
さらに、平成15年8月に開催予定の「宗族シンポジウム」(仮称)のため、11月の研究打ち合わせにおいては、科研メンバー以外の研究者もまじえて討論をおこない、日本国内における宋代〜明代の宗族研究者が一同に会する大規模なシンポジウムに向けて着々と準備を進めることができた。
なお、この間も、各メンバーは日本国内の有名雑誌等に成果を発表するとともに、須江隆、遠藤隆俊は、それぞれ英語、中国語で論稿を発表するなど、海外に向けて日本の研究成果公表の努力を怠りなくおこなった。なお申請時の計画では須江隆が平成15年3月、ニューヨークで開催されるAAS(Association for Asian Studies)にて宋代の祠廟の推移に関する研究発表をおこなう予定で、プログラムにも掲載されていたが、米国等によるイラク進攻のため所属機関から直前に禁足通知が出たため参加不可能となった。
以上、とくに宋代以降の中国における集団の一つである「宗族」に関して、意見交換や史料調査が飛躍的に進んだ1年であったと言える。

研究成果

• [文献書誌] 岡 元司: "南宋期の地域社会における「友」"東洋史研究. 61巻4号(印刷中につき未定). (2003)
• [文献書誌] 須江 隆: "作為された碑文-南宋末期に刻まれたとされる二つの祠廟の記録-"史学研究. 236. 22-40 (2002)
• [文献書誌] 須江 隆: "唐宋期における社会構造の変質過程-祠廟制の推移を中心に-"東北大学東洋史論集. 9(印刷中につき未定). (2003)
• [文献書誌] SUE Takashi: "The Shock of the Year Hsuan-ho 2"ACTA ASIATICA. 84. 80-125 (2003)
• [文献書誌] 遠藤隆俊: "宋代の地域社会と宗族"高知大学学術研究報告. 51(印刷中につき未定). (2002)
• [文献書誌] 遠藤隆俊: "北宋士大夫の日常生活と宗族"東北大学東洋史論集. 9(印刷中につき未定). (2003)
• [文献書誌] 遠藤隆俊: "宋代的士大夫与家族、宗族"中国家庭史国際学術討論会論文集、南開大学. (印刷中につき未定). (2003)
• [文献書誌] 井上 徹: "中国の近世譜"<シリーズ歴史学の現在>系図が語る世界史 青木書店. 121-147 (2002)
• [文献書誌] 井上 徹: "中国近世の地域社会に関する覚書"歴史科学. 170. 1-11 (2002)
• [文献書誌] 井上 徹: "魏校の淫祠破壊令-広東における民間信仰と儒教"東方宗教. 99. 1-17 (2002)
• [文献書誌] 青木 敦: "宋代地方官考課制度の基調"アジア文化研究. 別冊11. 153-168 (2002)
• [文献書誌] 中島楽章: "永楽年間の日明朝貢貿易"史淵. 掲載確定(印刷中につき未定). (2003)