研究課題/領域番号 |
14310181
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
星乃 治彦 福岡大学, 人文学部, 教授 (00219172)
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研究分担者 |
石田 勇治 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (30212898)
伊藤 定良 青山学院大学, 文学部, 教授 (40059788)
田村 栄子 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (20249238)
川手 圭一 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (50272620)
熊野 直樹 九州大学, 大学院・法学研究院, 助教授 (50264007)
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キーワード | ヴァイマル共和国 / ナチズム / モダン / 近代批判 / 近代 |
研究概要 |
本科研の昨年度の最大の成果は、『歴史評論』2004年1月号に、「『ナチズムと近代』再考」という特集に集約されている。この特集は本科研の中間発表的位置づけを持つものである。 そこでは、先年当科研メンバーでもあったハンブルク現代史研究所所長アクセル・シルト氏の「20世紀ドイツにおける近代の諸問題」と題する、モデルネの問題を20世紀ドイツ史全体の中で位置づけようとする意欲的論考に始まる。この問題意識を、田村栄子氏は、日本の研究動向を手際よく整理しながら、独自の見解の展開している。つまり、ミッシェル・フーコーの影響を受け「モデルネ」を政治的・社会的コンテキストと切り離した「近代」批判の傾向に対して疑問を呈し、それら「近代」を連続面のみで捉えようとする、ヴァイマル期に関して言えばヴァイマル期とナチズムとの連続性を強調する研究傾向を批判しているのである。 こうした、「モデルネ」を近代批判一般に流し込まず、歴史的コンテキストの中で理解しようとするのが、本科研の一つの成果であるが、それを「モデルネ」の最高峰とされるバウハウスを材料にしながら実証的に論証しようとしたのが、同じ『歴史評論』2004年1月号に掲載された星乃治彦の「『モデルネ』のコンテクスト」である。また、これに続く高岡裕之氏の「ファシズム・総力戦・近代化」は、日本史での議論にこの問題意識を引き付けて論じている。これも、研究会のゲストとして氏の知見との交流の成果であるとともに、こうした日独の比較によって比較史的手法による国際比較も可能となった。 ここに至る上で本科研では、各人の史料収集や書籍購入を進める一方、5月、9月、12月、3月に適宜研究会を開催し、研究成果を交流するとともに、各自の論文発表につなげていった。
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