研究課題/領域番号 |
14310183
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
樋口 映美 専修大学, 文学部, 教授 (80238287)
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研究分担者 |
貴堂 嘉之 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 助教授 (70262095)
佐藤 勘治 独協大学, 外国語学部, 教授 (60235330)
中條 献 桜美林大学, 国際学部, 教授 (50227336)
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キーワード | 国民意識 / 移民 / カリブ海地域 / 国際研究者交流 / アメリカ:メキシコ:イギリス / ジェンダー / 人種意識 / メディア |
研究概要 |
国際的な研究者交流という点では、6月12日にアメリカ史研究会との共催で国際シンポジウムを開催し、講師としてWilliam Darity, Jr,(ノースキャロライナ大学)とMeredith Raimonndo(オバリン大学)、John Howard(キングズ・カレッジ)の3氏を招聘し、コメントを島田法子(日本女子大学)、大津留(北川)智恵子(関西大学)、松本悠子(中央大学)の3氏にお願いした。国民意識の形成をメディアとジェンダー、さらには社会学の視点から議論することができた。翌6月13日には合同研究会を開催し、「国民意識」の多様性を最終報告書にいかに反映させるかについて議論した。なお、2003年度海外ワークショップの記録をアメリカ合衆国の学会誌Transforming Anthropologyに掲載するため、交渉中である。 最終的に次の4点が主として検証された。(1)1990年代も南北戦争当時もメディアが国民意識の形成に大きな役割を果たしたこと、(2)20世紀初頭のアフリカ系アメリカ人ビジネス界においても、第一次世界大戦下の政策においても、第二次世界大戦下の強制収容所においても、ジェンダー意識がアメリカ化の回路に顕著に見られたこと、(3)南北戦争前後のアフリカ系が先祖への帰属意識からアメリカ人意識へとシフトするに至る事例がある一方で、第一次・第二次世界大戦期にポーランド系もアフリカ系も先祖への帰属意識とアメリカ人意識が共存したという事例も示されたこと、(4)アメリカ合衆国の隣国であるメキシコで独立期のプロテスタントがアメリカ合衆国にすりよるのではなく、合理性・普遍性を独自に追求したこと、また、国境近くに住む先住民が自己の生活を重視して自らの帰属意識を形成したことなどが明らかとなった。いずれも、研究対象を主体化することによって、国民意識もその成り立ちも多様であることを物語っている。
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