研究目的達成のために、今年度は主に北海道続縄文土器と福島県域弥生土器の資料調査を実施し、その成果の一部を公表した。 1 北海道続縄文土器の資料調査 江別・えりも・伊達・函館・七飯の各市町所在続縄文土器の観察と実測を行い、恵山式土器および江別式土器の型式学的検討を実施した。 2 福島県域弥生土器の資科調査 福島市孫六橋遺跡ほか出土弥生土器を再実測・再検討を実施し、孫六橋遺跡の検討結果は『福島考古』42号に発表した。 会津若松市南御山遺跡出土資料の再整理を進め、福島県域における弥生土器編年の再構築を行う準備とした。五本松・油田両遺跡など比較資料の観察も進めた。 3 成果の公表 別記諭文のほか、<考古学研究会第2回東京例会>で「東北弥生文化の南への影響」と題して報告し、東北日本弥生文化研究における土器研究の重要性を指摘した。 以上の検討は、当該研究課題の南北両地域に主眼を置いたものであり、これは中間地域である東北地方中・北部域の編年研究を進める基礎をなす。また成果の公表は、東日本弥生土器・続縄文土器の広域編年整備が、西暦紀元前後の日本列島を舞台とする歴史動向を探る上で急務であることを周知する活動と位置付けられる。
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