本研究では、イスラエルにおいて日本隊が発掘調査をおこなったエン・ゲヴ遺跡について調査・研究を深め、周辺地域の事例との比較検討を通して、地域の歴史の中に位置づけることを軸として研究を進めてきた。 2003年、2004年には、夏期にイスラエルに渡航して、エン・ゲヴ遺跡の発掘調査(第7次、第8次)に参画し、遺跡アクロポリス部において、列柱式建物の基本構造の解明にあたったほか、昨年度判明した城壁コーナーのタワーについて、平面プランを明らかにした。また、エン・ゲヴ遺跡出土遺物の実測作業や撮影作業に従事したほか、イスラエル、ヨルダンにおいて、関連遺跡や博物館を訪問し、資料の収集にあたった。 国内においては、最終報告書の刊行をめざして、遺物や遺構の図面、写真、台帳など、調査記録の基本的な整理を進行させ、遺構図面、遺物図面について、デジタルワークを推し進めた。 また、当地における鉄器〜青銅器時代の都市・建築構造のさらなる追求を目指して、新たな調査対象を模索し、有力候補地が下ガリラヤ地方に所在するテル・レヘシュに絞られたのを受け、関連資料の収集にあたるとともに、各方面との折衝などの準備作業をおこなった。2005年8月には、予備調査として、エン・ドール博物館に保管されている採集資料の調査をおこない、実測、写真撮影などをおこなうとともに、鉄器時代の神殿遺構で知られるキティオン(キプロス島)などを踏査し、関連資料の収集にあたった。10月には、イスラエル考古局にテル・レヘシュの発掘調査の正式な申請をおこなったが、幸い、2006年について、同遺跡の発掘調査のライセンスを日本隊として単独で取得することができた。
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