研究課題/領域番号 |
14310192
|
研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
白石 太一郎 国立歴史民俗博物館, 考古研究部, 教授 (60150017)
|
研究分担者 |
今尾 文昭 奈良県立橿原考古学研究所, 附属博物館, 総括学芸員 (20250368)
村木 二郎 国立歴史民俗博物館, 考古研究部, 助手 (50321542)
千田 嘉博 国立歴史民俗博物館, 考古研究部, 助教授 (70226695)
|
キーワード | 中世墓地 / 近世地墓 / 郷墓 / 墓郷 / 石塔 / 両墓制 / 葬送儀礼 / 基層信仰 |
研究概要 |
奈良盆地など近畿地方には、複数の近世村(大字)が墓郷を構成し、共同で大規模な入会墓地である郷墓を営むところが少なくない。それらには中世以来の石塔が今も残り、中・近世から現代に至る墓地の歴史的変遷やその背景を探るきわめて重要な歴史資料でもあり、生きた遺跡でもある。研究代表者らは、平成9〜12年度にかけて科学研究費補助金の交付を受けて、奈良盆地の郷墓のうちでも比較的古い墓地景観を残している奈良県新庄町平岡極楽寺墓地と同天理市の中山念仏寺墓地の測量調査と遺存するすべての石塔の型式・法量・銘文・石材などの悉皆調査を行い、両墓地の記録化をはかるとともに、その形成過程や墓地利用形態の変遷過程を追求した。ただ、中山念仏寺墓地の規模が予想以上に大きく、その記録調査を完了することが出来なかった。本研究は、この中山念仏寺墓地の石塔の調査を完成させるとともに、他の近畿各地の郷墓などと比較し、郷墓形成の歴史的意味や中・近世の墓地利用形態の変遷過程を考古学の立場から追求しようとするものである。 この年度の成果としては、(1)中山念仏寺墓地の石塔の悉皆調査を完了し、その構成を明らかにした。現存した9194基の石塔のうち銘文から造立年を明らかにできるものの内訳は、16世紀48基、17世紀1294基、18世紀2477基、19世紀ll75基、20世紀1729基、21世紀18基となる。また五輪塔など無銘のものも1421基あり、その多くは中世に遡るものと思われる。(2)中山念仏寺墓地の石塔のうち、各型式を代表するものについて実測調査を実施し、この地域における石塔の型式変遷やその地域性を追求した。(3)中山念仏寺墓地の墓郷を構成する地域のゼネラルサーベを行い、墓郷内での郷墓以外の墓地のあり方などを調査した。(4)奈良盆地や近畿各地の郷墓を実査し、比較検討した。この作業はさらに次年度にも継続し、近畿の郷墓のなかでの中山念仏寺墓地や平岡極楽寺墓地の位置を明確にしたい。
|