論理的な日本語表現を支える複合辞形式に関する総合研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14310194
• 研究機関: 滋賀大学
• 研究代表者: 藤田 保幸 滋賀大学, 教育学部, 教授 (80190049)
• 研究分担者: 松木 正恵(米山 正恵) 早稲田大学, 教育学部, 助教授 (40199774) ; 田野村 忠温 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (40207204) ; 砂川 有里子 筑波大学, 文芸言語系, 教授 (40179289) ; 山崎 誠 独立行政法人国立国語研究所, 研究開発部門, 第1領域長 (30182489) ; 三井 正孝(三ツ井 正孝) 新潟大学, 人文学部, 助教授 (60249240)
• キーワード: 複合辞 / 文法化

研究概要

本研究は、(1)複合辞についての従来の研究を見直して、問題点を明らかにするとともに、(2)各論的記述を進め、(3)その成果を生かして、『現代日本語複合辞用例集』の増補・改訂を行っていくという計画であるので、2年目に当たる平成15年度は、研究代表者及び各分担者を中心に、研究協力者の参加も積極的に求め、各自がそれぞれの問題意識に沿って、主として(2)の各論的研究を進め、その成果を研究会で確認した。夏には、「複合辞研究の諸問題」というテーマで公開の形の研究会(7/26・於岐阜聖徳学園大学)を開催し、成果を研究グループ外にも問うた。この場では、複合辞研究の問題点と今後の方向を展望する砂川の発表と、三井及び服部匡(研究協力者)の各論的問題についての発表が行われ、研究の新たな展開が模索された。また、冬には、昨年度に続く内部の第2回研究発表会(1/24・於国立国語研究所)を行い、三井及び杉本武・前田直子(ともに研究協力者)が研究成果を発表した。更に、年度末近くには、内部の第3回研究発表会(3/6・於甲南大学)を行い、研究代表者藤田が本年度の研究の一部を発表した。以上のうち、三井の研究は格助詞的とされる複合辞「において」などに関するものであり、杉本の研究も格助詞的なものとされる「をめぐって」に関するものである。また、前田の研究は、接続助辞的な複合辞「からには」などについてのものであり、服部の研究も、接続助辞的な性格の強い形式「ばかりか」に関するものである。そして、藤田の研究は、副助詞「だけ」などとも比較される「に限って」についての意味・用法の考察である。以上のとおり、本年度は、個々の複合辞的形式についての各論的記述が活発に進められたことが、目だった成果であるといえる。

研究成果

• [文献書誌] 砂川有里子: "文法的な文の類型が談話の主題展開に与える影響"筑波大学文芸・言語系紀要『文芸言語研究(言語編)』. 44. 133-160 (2003)
• [文献書誌] 砂川有里子: "話法における主観表現"朝倉新日本語講座. 5. 129-157 (2003)
• [文献書誌] 田野村忠温: "コーパス言語学の可能性と限界"日本語研究. 13. 32-47 (2003)
• [文献書誌] 田野村忠温: "コーパスによる文法の研究"日本語学. 22・5. 174-186 (2003)
• [文献書誌] 田野村忠温: "現代語のモダリティ"朝倉新日本語講座. 6. 176-195 (2004)
• [文献書誌] 三井正孝: "《場所》のニオイテ格-現代語の場合-"人文科学研究. 114. 1-36 (2004)
• [文献書誌] 松木正恵: "複合辞研究史I「複合辞」の提唱-永野賢の複合辞研究-"早稲田大学教育学部紀要(学術研究-国語・国文学編-). 52. 15-26 (2004)
• [文献書誌] 松木正恵: "大学における文法教育の意義と課題"早稲田大学国語教育研究. 24. 31-45 (2004)
• [文献書誌] 松木正恵: "平成14年国語国文学界の動向「国語学-現代語」"文学・語学. 178. 137-141 (2004)
• [文献書誌] 藤田保幸: "接続助詞的用法の「〜トシテ」について-「複合辞」らしさの生まれるところ-"滋賀大国文. 41. 10-26 (2003)
• [文献書誌] 藤田保幸: "伝聞研究のこれまでとこれから"言語. 32・7. 22-28 (2003)
• [文献書誌] 藤田保幸: "「引用」をめぐって"国文学解釈と鑑賞. 69・1. 110-120 (2004)
• [文献書誌] 田野村忠温: "Perlプログラミング-テキストデータ処理の基礎"大阪外国語大学. 240 (2003)