研究課題/領域番号 |
14310204
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
氷上 正 慶應義塾大学, 総合政策学部, 教授 (40228698)
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研究分担者 |
二階堂 善弘 関西大学, 文学部, 助教授 (70292258)
平林 宣和 早稲田大学, 政治経済学部, 助教授 (40271358)
山下 一夫 神田外語大学, 中国語学科, 専任講師 (20383383)
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キーワード | 皮影戯 / 京劇 / 京劇上演データベース / 上演環境 / 物語流通 / 文化交流ネットワーク |
研究概要 |
本年度は、これまでの調査・研究によって得られた資料の整理・検討を進めるとともに、これを補完する現地調査や資料収集を実施し、成果報告に向けた研究の総括を行った。 皮影戯に関しては、夏期および冬期に北京・山西省・陜西省において現地調査を実施し、補助的な聞き取り調査を行った。また引き続いて関連文献資料の収集をすすめ、うち礼泉県弦板腔皮影戯および華県碗碗腔皮影戯のコレクションについては目録を公開したほか、清末抄本『唐英烈』は解説を付した影印を公刊するなど、成果の一部についてすでに公表も行っている。この他、前世紀初頭における欧米研究者の調査・研究状況について再検討し、現在の調査結果との比較研究をすすめた。これよって、北京・山西省・陜西省における上演状況のパースペクティブを確立しえた。 京劇に関しては、『清代燕都梨園史料』『都門紀略中之戯曲史料』などの上演状況に関わる資料の電子データ化を行うとともに、前年度より進めた『五十年来北平戯劇史材後編』および『順天時報』のXMLデータフォーマット化を完成させ、これらとすでに構築済みのデータを加えることで、1900〜1930年代までを網羅する京劇上演データベースの構築を行っている。これによって、日時・場所・俳優など上演状況の詳細が検索可能となり、京劇の総合的な研究を可能としただけでなく、当該時期における文学作品のコンテクスト研究や、人物の伝記的研究などにも活用されうる重要な研究ツールを確立しえた。 以上の研究を通じて、民国時期における皮影戯および京劇の上演実態について、詳細かつ網羅的な理解を確立するとともに、物語流通や受容形態、およびその文化交流ネットワークについて一定程度の解明をすることができたといえよう。
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