研究課題/領域番号 |
14310212
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中地 義和 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50188942)
|
研究分担者 |
田村 毅 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90011379)
塩川 徹也 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (00109050)
月村 辰雄 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50143342)
塚本 昌則 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (90242081)
竹内 修一 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (40345244)
|
キーワード | 詩の危機 / 散文詩 / ジャーナリズム / ボードレール / モデルニテ / 都市 / 詩と絵画 / 詩の翻訳 |
研究概要 |
本研究最終年にあたる平成16年度には、年度初めの予定に従い、主として(1)詩のエディション、(2)散文詩とその隣接領域、(3)詩による自伝ないし自画像、の3点をめぐる研究を遂行し、本研究の総括に向かう取り組みを行なった。 (1)に関しては、ランボー詩の校訂で近年目覚しい成果を挙げているスティーヴ・マーフィー(レンヌ第2大学)、ピエール・ブリュネル(パリ・ソルボンヌ大学)の両教授を講師に向かえ、講演、および本研究メンバーとの討論の会を開催した。異本の処理、本文と註の関係、一つのテクストの源泉のみならず後続テクストへの延長の跡づけを、エディションのなかにいかに反映させるか、といった問題について活発な議論が交わされた。校訂に唯一無二のモデルはありえず、エディションの目的と規模、校訂者の関心に応じて、きわめて広い可能性があることが具体的に確認された。 (2)に関しては、パスカルやヴァレリーにおける断章形式と近代散文詩との類似と相違についての検討、ボードレールの散文詩における「憐れみ」の表象とルソー、ポー、ド・クインシー、バルザックらの関連テクストとの干渉の検討を行なった。研究分担者がそれぞれの関心対象について考察を加えるとともに、ジャン=リュック・ステンメッツ教授(ナント大学)を招聘し、このテーマをめぐる講演と討論を企画した。 (3)については、研究代表者の中地が数年来の研究成果を著書『ランボー自画像の詩学』にまとめた。また、本研究の昨年来のテーマである「詩の墓」に関連して、喪の表現における自伝と虚構の関係が、ステンメッツ教授も加わって検討された。 本研究の成果は、2003年5月に開催されたシンポジウム「ボードレールと詩のフォルム」での発表にさらなる考察を加えた論考を核とする報告書にまとめられる予定である。
|