本年度は、記述文法作成の準備として、基礎的な語彙について、どのような要素を取りうるかを、統語論的・形態論的に記述する、満洲語語法データベースの作成に着手した。具体的には、研究会を行ない、動詞、形容詞の取る項に関する情報以外に、どのような情報を盛り込むかを検討した。また、代表者の久保は満洲語口語(シベ語)、分担者の早田は満洲語文語において、小規模なデータベースを作成した。 これらと平行して、記述文法作成に役立てるべく、満洲語機械可読テキストの作成を行なった。すでにある、早田の作成になる『満文金瓶梅』のテキストデータベースに加えて、久保が一部作成していた『百二老人語録』のテキストデータベースの追加入力、『満漢成語対待』のテキストデータベースの点検作業などを行なった。また久保は、満洲語口語'(シベ語)のテキストデータベースの作成作業を進めた。 このほか、久保は、ロシアのサンクト・ペテルブルクにあるロシア科学アカデミー・東洋学研究所において、満洲語文献を閲覧した。主に『大清全書』の「清書指南」の部分について、いくつかの版本を比較し、校訂作業を行なった。 早田は、2002年3月に出版した『大清全書』テキストの訂正版作成のため、天理大学図書館などで同書の閲覧をし、改訂作業を進めた。
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