プラトン主義の受容と変容を通じての古典の普遍性の研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14310228
• 研究機関: 大阪府立大学
• 研究代表者: 山口 義久 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (30118004)
• 研究分担者: 小浜 善信 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (10124869) ; 岡崎 文明 金沢大学, 教育学部, 教授 (20117005) ; 堀江 聡 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (40238788) ; 加藤 守通 東北大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (40214407) ; 今 義博 山梨大学, 教育人間学部, 助教授 (30115315)
• キーワード: プラトン / プロティノス / 新プラトン主義 / ギリシア哲学 / 中世思想 / イスラム哲学 / ルネサンス / 現代哲学

研究概要

今年度も昨年度に引き続き、各自の分担領域を中心にして、必要な資料の収集や読解、さらには相互の連絡をとりあって研究計画をさらに練り上げながら、それぞれが専門的な研究を深めるという、基礎的な研究を続行した。研究代表者は、各分担者と意見を交換しつつ、計画の全体が適正に遂行されるように配慮する一方で、自らはプラトンの哲学がアリストテレスの哲学やヘレニズムの諸思想に及ぼした影響について研究を進めた。堀江聡は、後期新プラトン主義の成立に至る展開を跡付けるとともに、新プラトン主義がアラビア哲学にあたえた影響についても研究を深めた。岡崎文明は、新プラトン主義が時代を超えて発揮した影響力を総括する仕事に一定の成果をおさめた上で、トマス・アクィナスの思想におけるプラトン主義的要素についても研究を進めた。小浜善信は、プラトン主義の影響について、時間論や空間論の見地から研究を進める一方で、現代の思想も視野に収めつつ、プラトン主義の伝統の考察を深めた。河野一典は、アウグスティヌスの諸著作におけるプラトン主義的な要素を跡付けながら、西洋中世思想におけるプラトンの影響について研究を進めた。今義博は、エリウゲナの思想に中心をおきつつ、中世思想全般におけるプラトンの影響についての研究を進めた。野元晋は、シーア派、とくにイスマーイール派のイスラーム思想における新プラトン主義の受容についての研究を通じて、プラトン主義とアラビア思想の関係についての考察を深めた。加藤守通は、ルネサンス〜近世の思想におけるプラトン的要素の研究を進めた。田中敏彦は、ベルクソンらの現代フランス思想を中心として、プラトンや新プラトン主義が現代思想に及ぼした影響について研究を進めた。

研究成果

• [文献書誌] 野元 晋: "初期イスマーイール派の神の言葉論:スィジスターニーの「神の[創出の]命令の認識について」他二篇訳"西洋精神史における言語観の変遷(松田隆美編). (2004)
• [文献書誌] 野元 晋: "An Ismaili Thinker on the Ethical Codes of the Missionaries : Translation of the Kitab al-Islah by Abu Hatim al-Raziz"慶應義塾大学言語文化研究所紀要. 35. (2003)
• [文献書誌] 加藤 守通: "フーコーの思想における戦争論の位置付け-『社会は防衛しなければならない』の解釈を中心に-"東北大学大学院教育学研究科『研究年報』. 51. 1-16 (2003)
• [文献書誌] 加藤 守通: "コミュニティーの人間形成論"教育哲学研究. 87. 7-11 (2003)
• [文献書誌] 田中 敏彦: "フランス現代の哲学史観"西洋哲学史観と時代区分(渡辺二郎編). 173-192 (2004)
• [文献書誌] 山口 義久: "ギリシア哲学と笑い"形の文化誌. 10(未定). (2004)
• [文献書誌] 堀江 聡: "ペトルス・ニコラウス羅訳『アリストテレスの神学』第一章・第二章"西洋精神史における言語観の変遷. 115-145 (2004)
• [文献書誌] 堀江 聡: "『アリストテレスの神学』から古代末期の始原論への遡原"中世思想研究. 45. 41-56 (2003)
• [文献書誌] 岡崎 文明: "善一者論と存在論(一):古代ギリシャ思想における「善優位」の伝統"金沢大学教育学部紀要. 53. (2004)
• [文献書誌] 小浜 善信: "西田幾多郎の哲学(II-1)-歴史的世界の時空構造-"神戸外大論叢. 54・1. 17-43 (2003)
• [文献書誌] 河野 一典: "時間の形而上学-アウグスティヌス『告白』第十一巻再考-"鹿児島純心女子短期大学研究紀要. 34. 1-10 (2004)
• [文献書誌] 加藤守通(訳): "ジョルダーノ・ブルーノ『カンデライオ』"東信堂. 216 (2003)