研究課題
基盤研究(B)
近年学問的にもまた実践的にも大きな関心を集めている近隣政府ないし都市内分権制度について、日本の近年の都市内分権の動向をふまえつつ、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランスの諸国の都市内分権の動向と比較すること、及びその際制度の機能を支えている「基礎地域組織」のあり方に着眼すること、がこの研究の基本的な狙いであった。研究代表者・分担者全員で日本の都市内分権の試みのいくつか(世田谷区、宝塚市、神戸市、北九州市)を現地調査して共有するとともに、分担して、各対象国で現地調査を行なった。都市内分権の制度化という点では、ドイツが最も歴史的に長い経験を有しており、フランスはつい最近制度化されたが、イギリスには農村部を中心に100年の歴史を持つパリッシュ・カウンシルの仕組があるものの、イギリス、アメリカには都市部での都市内分権は統一化された法制度はない。また、基礎地域組織といっても、日本の自治会・町内会やドイツの政党組織のように、それぞれの国で全国的に普遍的に存在してコミュニティレベルの公共世界構築の基盤となる組織がはっきりした形でどの国でも確認できるわけでもない。しかし、近年日本で公共世界の大きな潮流となっている。「協働」の動向が、アメリカのみならず、従来福祉国家システムを採用してきたヨーロッパ諸国でも多かれ少なかれ見られることに着眼するならば、NPO等をも含めた地域組織が、行政の提供する公共サービスの縮小のもとで、地域レベルの(すなわち自治体よりも狭域のレベルの)諸問題に対処しようとしている様が共通に確認され、理論的にはこれを都市内分権の今日的現象としてとらえることができると考えられる。公共的意思決定をコミュニティレベルへと分散化することによって民主的なものにすることに関する研究として出発したプロジェクトであったが、その側面とともに、図らずも先進諸国に共通する「協働」の潮流、即ち公共サービスを行政サービスから民間の諸主体へと移行させようとする動向をも、捉えることになった。
すべて 2004 2003
すべて 雑誌論文 (12件)
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The Japanese Association of Sociology of Law, The Sociology of Law Vol.59