研究課題/領域番号 |
14320010
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
市川 正人 立命館大学, 法学部, 教授 (10184615)
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研究分担者 |
永田 秀樹 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (60136778)
中島 茂樹 立命館大学, 法学部, 教授 (10107360)
大久保 史郎 立命館大学, 法学部, 教授 (90066720)
倉田 玲 立命館大学, 法学部, 助教授 (20368012)
徳川 信治 立命館大学, 法学部, 教授 (60280682)
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キーワード | 人間の安全保障 / 平和 / 人権 / 平和的生存権 / グローバリゼーション / 主権 / 非国家組織 / 国際犯罪 |
研究概要 |
本年度は、まず、「個人の安全保障」、「経済・社会的な安全保障」、「政治的安全保障」の各研究グループにおいて、各課題・問題領域における「人間の安全保障」論および「平和的生存権」論の意義・位置づけの明確化を行った。その結果、「恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利」(日本国憲法前文)である平和的生存権が本来有していた豊かな内容を「人間の安全保障」の視点から再構成する方向づけが確認された。 具体的には、「個人の安全保障」の研究グループにおいては、国際平和の維持の課題と共に、犯罪からの安全の確保、特に国際的な組織犯罪対策の課題が設定され、研究が進められた。この点と関わって、2003年12月に、「グローバリゼーション時代における国際犯罪と人間の安全保障に関する総合研究」(文部科学省科学研究費[基盤研究S]研究プロジェクト)と共同で、アメリカ、ドイツ、オーストラリア、スペイン、タイ、韓国等からの参加を得て、2日にわたる国際シンポジウム「国際組織犯罪と人間の安全保障」を開催した(このシンポジウムの記録は来年度公表される予定)。「経済・社会的な安全保障」の研究グループでは、人間の安全保障という見地から各国の社会保障法、労働法の検討を行うと共に、国際人権規約のA規約(いわゆる社会権規約)の履行確保のための選択議定書策定の動きをフォローした。また、いわゆる「中間団体」の役割についての検討も行った。「政治的安全保障」の研究グループでは、国家が個人の安全保障をはかろうとして行う活動と政治的安全保障との緊張関係を課題として設定した。具体的には、人権保障機関によって人権を保障しようとする政策・制度の意義と限界、テロ・国際組織犯罪対策のための諸措置による自由の制約(特にアメリカの愛国者法による自由の制限)、国家活動の根拠とされる「公共性」の中身について検討を加えた。 さらに、グローバリゼーション時代における「人間の安全保障」概念の意義を追求するにあたっては、国際機関の現場・最前線の状況との照合が不可欠である。そうした見地から、2003年10月と12月とに、世界銀行、国連開発計画、WTO等の国際機関で働いている邦人を招いてのラウンド・テーブル「持続可能な開発とグローバリゼーション」を前記の研究プロジェクトと共同で開催した。
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