研究課題/領域番号 |
14320012
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松井 芳郎 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (00022418)
|
研究分担者 |
富岡 仁 名古屋経済大学, 法学部, 教授 (00126880)
佐分 晴夫 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70093036)
岡田 泉 南山大学, 法学部, 助教授 (10024093)
西村 智朗 三重大学, 人文学部, 助教授 (70283512)
小畑 郁 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40194617)
|
キーワード | 冷戦後世界 / 国際協力 / グローバリゼーション / 国際法 / NGO / 多国籍企業 / 条約の履行確保手続 |
研究概要 |
本研究の代表者・分担者の大部分が執筆に参加する『国際法』(有斐閣Sシリーズ)は、近現代国際法の構造を基礎としながら、グローバリゼーションの影響を意識して大幅に書き直され、第4版となって2002年4月に刊行された。同書の内容については、重刷の過程等折に触れて引き続き討論がすすめられている。 今年度開かれた持続的発展に関する世界サミット(ヨハネスブルグ)およびIMO環境保護委員会(ロンドン)には、分担者を派遣した。その報告によると、概して、単なる国家(グループ)間の利害の一致や対立にとどまらず、NGOや企業が非公式のアクターとして影響力を及ぼしていることが見受けられた。 本研究固有の研究会は、11月および3月の二回にわたって開催した。そこでは、上記報告をうけたほか、条約履行確保手続の発展とその相互関係、「国際法における公法的なるもの」、「国際法の政策化」等について議論がなされた。 以上の法現象をうけて、これらを国際法の基礎理論レヴェルでどう位置づけるか、という問題意識から、各参加者は旺盛に研究成果の公表に取り組んでいる。たとえば、国連集団安全保障体制の弛緩が国際法の法的性格に及ぼす影響、国連海洋法条約の一体性、国際責任論における国家間処理モデルの限界、さらには、条約解釈規則の法典化がもたらした問題、といった成果であり、これらは来年度のまとめに向けた一里塚ということができる。 もちろん、各人において国際法の現段階についてのイメージは、一枚岩ではないが、このような各研究成果を通じて、国際法秩序が、多様なアクターがそれぞれの地位に応じて縦横に活動する重層的なものとなっていること、および、そのなかで秩序維持機能がクローズアップしてきているという方向性については、大筋で合意が得られつつある。
|