研究概要 |
1.国会運営ルールの形成と変化 (1)国会法制定過程に関する分析を行い,国会中心主義の国会制度がどのように形成されたかを検討した. (2)国会制度との関係に焦点を当てながら,戦後の議院内閣制に関する法整備の過程の分析を進めた. (3)戦後国会における両院協議会と衆議院再議決という両院間調整の制度がどのように運用され,そこで第二院である参議院の意向がどの程度まで政策結果に反映されているのかに関する研究を進めた. 2.立法案件データの作成 (1)日本および海外各国の各年法律数・法案数の現定要因を分析した結果,与党議席率,与党支持率,首相・大統領の在任年数,議会選挙の頻度がプラスに働き,GNP,インフレ,人口増加率が影響しないことがわかった. (2)両院間調整制度の運用を分析するための,両院協議会・後議院修正・衆議院再議決に関するデータセットを作成し,それを使った分析作業を開始した. 3.国会運営の制度と立法行動を説明するための理論と実証 (1)国会中心主義と議院内閣制の問題点について理論的に分析を進めた. (2)国会における内閣提出法案を対象とした議事運営の計量分析を本にまとめた. (3)政党の離合集散に関して代議制度の観点から検討した論文を公刊した. (4)立法・行政関係に焦点を置いた論文の執筆,学会報告を行った. (5)比較政治分析ないし外国政治分析としての議会研究と,自国政治分析としての議会研究の方法的差異を明らかにするための論文を執筆し,一部を公表した. (6)現行政府法案提出手続に関する分析を行い,手続を遵守しない法案は,国会で成立しにくいという国会運営ルールが1941年から61年にかけて形成されたことを確認した.これはシグナリング・ゲームの均衡で,変化しなかった. (7)議員の属性の研究を行い,参議院議員は衆議院議員よりも,年齢はシニアで,学歴と在職年数ではシニアでなく,知的専門職は職種によってはシニアであることがわかった.
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