研究課題/領域番号 |
14320025
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
辻中 豊 筑波大学, 社会科学系, 教授 (70145944)
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研究分担者 |
田所 昌幸 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (10197395)
坪郷 實 早稲田大学, 社会科学部, 教授 (20118061)
五十嵐 暁郎 立教大学, 法学部, 教授 (90097220)
大西 裕 大阪市立大学, 法学部, 助教授 (90254375)
LEWIS Jonathan 一橋大学, 社会学研究科, 助教授 (60282589)
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キーワード | 韓国政治 / 市民社会 / 政策過程 / 公共政策 / 比較政治 / 政治変動 / 日本政治 / 東アジア |
研究概要 |
今年度は、日韓の公共政策・政策過程の市民社会的な基盤に関する体系的な研究書を日韓政治学者の共同作業によって上梓することができた(発行自体は次年度4月)。その内容は: 第1部導入:政治・社会体制変動と市民社会。1章序論(辻中豊・廉載鎬)2章体制変動と市民社会のネットワーク(磯崎典世)3章市民社会団体のイデオロギー変化(辻中・崔宰栄)4章市民社会組織・利益団体形成と政治体制の変化(辻中・崔)5章社会空間(辻中・河正鳳)6章政治空間(辻中・河・足立研幾)7章韓国の市民社会とニューガバナンス-民主化以後の市民団体の政治化-廉載鎬(川村祥生訳)第II部韓国の政治過程・構造と市民社会・利益団体8章与党ネットワーク(大西裕)9章市民社会と影響力構造(辻中・崔)10章団体の「自己影響力」を規定する諸要因(崔・辻中)11章アクター・団体間関係の構造(辻中・崔)12章団体から見た政策の構造(辻中・崔)第III部事例分析13章市民運動と市民団体の理念・組織・行為様式(ジョ・デブ)14章政府-非政府組織(NGO)間の政策競争と合意形成過程(洪性満)15章女性運動(金京姫)16章ほどほどの地方分権(大西)第IV部総合的な分析と結論17章市民社会の団体配置構造(辻中・崔)18章結論(辻中・廉)、である。 各成員は共同研究の成果をそれぞれ、別記のように幾つかの論文や共著の章の形で発表した。 それ以外に、日韓の共同研究のために多くの研究会や講演会、ワークショップを開催した。 そうした成果を、短く纏めるのは困難であるが、上記の韓国での市民社会的な基礎に関して言えば、政治体制の変化が87年を大きな転換点として生じたこと、革命的転換というより漸進的な体制移行、急激ではあるが内容的に緩やかなものであり、市民社会組織の動向に反映していること、市民社会活性化は確実であるが、市民社会の先進性と政治社会の非先進性が共存する非同時性、システム間ギャップが生じていること、民主化過程で役割の大きかった政党とメディア、文化人・学者、一部市民団体の影響力が強く、理念・情報政治傾向が強いこと、他方、アドボカシー団体は、政治社会との関係を求めているが、地方自治の遅れもあり、政治社会の浸透はローカルまで達せず、市民社会自体もローカルな発展が遅れており、全体として中央集権・エリート性が残存していることが確認された。
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