研究課題/領域番号 |
14320029
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
河田 潤一 大阪大学, 法学研究科, 教授 (00104729)
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研究分担者 |
小林 正弥 千葉大学, 法経学部, 教授 (60186773)
加藤 淳子 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (00251314)
小川 有美 立教大学, 法学部, 教授 (70241932)
田中 善一郎 東京工業大学, 社会理工学研究科, 教授 (30009823)
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キーワード | 汚職 / 腐敗 / クライエンテリズム / 派閥 / 自由民主党(日本) / キリスト教民主党(イタリア) / マフィア / 社会資本(social capital) |
研究概要 |
本研究は、対象を先進諸国(日本、韓国、イタリア、北欧)、あるいは国際組織(EU)に絞り、特に政治汚職・腐敗とクライエンテリズムの関係を比較政治学的に検討することを目的として、遂行された。汚職・腐敗は、第一義的には、「違法性」を特徴とするが、汚職に連座するアクター間の交換様式は、自律的・水平的であることも珍しくない。これに対して、クライエンテリズムは、非対称的・従属的・垂直的・合法的な交換様式を特徴とする。従来、これら2つの現象は、さしたる区別もなされないまま、近代化論的な認識、即ち、腐敗とクライエンテリズムは前近代的な社会構造の反映であり、政治システムの病理現象として処理しようとする認識の下で処理されてきた。 本研究の各研究分担者は、理論、実証の両面から各々の分担テーマに積極的に取り組み、その結果、全体としては、(1)近代化論は限界を持つこと、即ち研究対象として先進諸国、EUにおける汚職・腐敗は、「隠された」「負の交換」として広く浸透しつつある点、(2)汚職・腐敗は、主として利益媒介過程、選挙過程にあって、政党・派閥・政治家・官僚・企業・犯罪集団(例えば、マフィア)等諸アクター間で、贈収賄、横領、詐欺・不正投票・票の買収、情実・縁故採用、暴力的腐敗等、多用な形態で表出すること、(3)厳罰主義、法的規制の強化、公職者の徳育、選挙制度の改革、地方分権化の推進は、汚職・腐敗の抑止策としては万能薬とはならないことなどを確認することができた。
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