研究課題/領域番号 |
14320030
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
稲継 裕昭 大阪市立大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90289108)
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研究分担者 |
大西 裕 大阪市立大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (90254375)
野田 昌吾 大阪市立大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (50275236)
加茂 利男 大阪市立大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80047357)
永井 史男 大阪市立大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (10281106)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | 出向官僚 / 人的リンケージ / 公務員制度 / 地方自治体人事行政 / 人事交流 |
研究概要 |
日本における地方政府の政策能力の維持・増大は、戦前は内務省による人事・財政を通じたコントロールにより、また戦後は、公選首長のもと、地方政府の人事戦略と高等教育の一般化により達成されてきた。地方政府の人事戦略は、中央政府と地方政府間の人的リンケージ(中央から地方への出向、地方から中央への派遣、地方間の人事交流)、研修(OJT、Off-JT)、民間にひけのとらない給与水準の維持、地方における政策イニシャティブなどである。これらの人事戦略による人的資源の充実が、地方の自律性を高める上で重要な要素であった。 本研究では、各分担者の興味関心を重視しつつも、中央と地方との関係について、人的資源の管理という観点を挿入しながら考察を進めた。分離型の典型とされるイギリスにおいては、人事交流は皆無に近いことがわかった。融合型のドイツでも人事交流は殆どなかった。ドイツはそもそも人事異動自体が少ない。だがフランスでは、中堅以上の職位においては本人の意思による自治体間の異動が比較的多く、それがポジティブなものと考えられているようである。ただ、日本のような出向という制度はない。このように、先進各国をみただけでもその態様はさまざまであった。この点は途上国の例をみても言える。 日本が慣例として持っている人事交流という実態は、諸外国から見てユニークな特徴である。戦前の内務官僚の人事配置を、戦後は別の法的スキームのもとで首長の主体性をもって出向官僚を受け入れてきた。ただ、これが地方の自律性を高める上でプラスに働いたという主張の検証には、自律性の国際比較などの検討が今後必要である。
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