グローバリゼーション下のHuman Developmentと新たな公共性の構築

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14330013
• 研究機関: 神戸大学
• 研究代表者: 二宮 厚美 神戸大学, 発達科学部, 教授 (80093491)
• 研究分担者: 浅野 慎一 神戸大学, 発達科学部, 教授 (40202593) ; 和田 進 神戸大学, 発達科学部, 教授 (30116272) ; 今谷 順重 神戸大学, 発達科学部, 教授 (60093639) ; 太田 和宏 神戸大学, 発達科学部, 助教授 (00273748) ; 澤 宗則 神戸大学, 発達科学部, 助教授 (40235453)
• キーワード: グローバリゼーション / 公共性 / 人間発達

研究概要

本研究の目的は、経済至上主義を越えて新たな人間と社会との方向性を探求することにある。具体的には、以下に示すように、(1)グローバリゼーションのメカニズムと弊害を明らかにし、(2)それに対抗し得る新たな公共性の理念を構想するとともに、(3)Human Development(以下「HD」と略す)概念の精緻化を図り、グローバリゼーションへの批判的視角を提示することにある。
平成14年度の研究成果は以下の通りである。
研究目的(1)のグローバリゼーションのメカニズムと弊害に関して、a)経済的分析として、都市システムの変化、外国人労働者の流入・定着のメカニズム、b)政治的分析として、国民国家の変容と地域・民族の復権のメカニズム、C)文化とアイデンティティの変容として、在日中国人・ベトナム人・インド人のコミュニティを対象にそのメカニズムの分析を行った。それらを踏まえてd)グローバリゼーションの弊害の分析として、国内では、世界都市・東京や沖縄をはじめ、多くの事例地域での聞き取り調査とアンケート調査を中心とする実証的分析を行った。
研究目的(2)の新たな公共性理念の構想と研究目的(3)のHDの概念と実践的課題に関しては、理論的考察を行うとともに、予備的フィールド調査をイギリスで行った。
これらの作業を通じて生産された研究成果は、以下の表で示されるように、論文9本および著書2冊である。またこの研究テーマに関するセミナーを5回開催し、その一部をディスカッションペーパーとして公開している。

研究成果

• [文献書誌] 二宮厚美: "現代日本の新自由主義と新国家主義"ポリティーク. 4号. 131-156 (2002)
• [文献書誌] 二宮厚美: "現代資本主義と福祉国家論の諸課題"賃金と社会保障. 1325号. 4-27 (2002)
• [文献書誌] 今谷順重: "『真の学力』を育てる21世紀の学校をどう創るか"悠. 2002年9月号. 1-105 (2002)
• [文献書誌] 和田 進: "改憲問題に関する政党・国民の動向"法律時報増刊・憲法と有事法制. 2002年12月号. 232-236 (2002)
• [文献書誌] 和田 進: "九条・有事法制に関する国民の意識動向"法律時報増刊・憲法と有事法制. 2002年12月号. 540-551 (2002)
• [文献書誌] 岡田章宏: "ブレア労働党政権の『第三の道』"ポリティーク. 第4号. 228-237 (2002)
• [文献書誌] 新垣正美, 浅野慎一: "ベトナム難民家族の青少年の生活とアイデンティティ"地域社会学会年報. 14巻. 190-210 (2002)
• [文献書誌] 浅野慎一, 広畑千春: "大学生の政治-社会意識とナショナリズム(2)"神戸大学発達科学部研究紀要. 10巻2号. 201-222 (2002)
• [文献書誌] 太田和宏: "Human Developmentは新自由主義的グローバリゼーションの対抗軸となりるか:開発分野からの検討"社会環境論セミナー ディスカッションペーパー. 1号. 1-25 (2003)
• [文献書誌] 二宮厚美: "構造改革とデフレ不況"萌文社. 268 (2002)
• [文献書誌] 岩崎信彦, C.ピーチ, 他編: "海外における日本人、日本のなかの外国人"昭和堂. 482 (2003)
• [文献書誌] 秋田 茂, 水島 司編: "現代南アジア 第6巻 世界システムとネットワーク"東京大学出版会. 367 (2003)