研究課題/領域番号 |
14330017
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
田中 啓一 日本大学, 経済学部, 教授 (00102442)
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研究分担者 |
花輪 宗命 大東文化大学, 経済学部, 教授 (60338598)
松岡 勝博 那須大学, 都市経済学部, 教授 (70337450)
三橋 博巳 日本大学, 理工学部, 教授 (50059862)
田中 正秀 金澤星稜大学, 経済学部, 助教授 (00350744)
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キーワード | 老朽化マンション / 建替 / 都市再生システム |
研究概要 |
深刻な日本経済から脱出する有力なシステムの一つとして、政府は老朽化マンションの建替え等による都市再生の方策を打ち出している。わが国は戦後50余年を経て、米国に次ぐ経済大国、資産大国を達成することができた。しかし、その一方で、膨大な「負(マイナス)のストック(資産)」が発生し、その改善を実現しなければ都市環境の向上と21世紀の日本経済の復活はない。築30年以上の老朽化マンションの建替え問題は、地震などの自然災害とともに居住環境の向上のためにも、土壌汚染問題とともに早急に解決しなければならない課題である。本研究の初年度として、日本の実態とともに、欧米やアジア諸国でも共通の課題を抱えていることを直視し、研究・調査を進め、その成果を別紙のとおり公表してきた。 本研究でこれまで得た知見としては、老朽化マンションの建替えには多くのバリアがあり、(1)老朽化の時期の客観的に基準や費用の過分性に関する合理的な判断基準の確立などがまだ充分でないこと、(2)中古マンションを購入した区分所有者には多くの場合、多額の住宅ローンが残っていること、(3)今後大きな課題となるのは、バブルジに想像もできないほどの担保額が設定されていること、(4)現行の建築基準法などからは、再建築が事実上不可能な「既存不適格」がほとんどである。特に、(3)のケースについては登記簿謄本の調査から債務額が巨額であることが明らかになった。僅か100平米の老朽化マンションに数億円以上の担保がついているのは、バブル時の異常さを改めて驚愕せざるをえない。建替えが円滑になされるためにはこのような巨額な抵当権を建替え後のマンションに適切に移し変える仕組みが必要不可欠である。 これらの解決策を次年度以降の研究課題としたい。
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