研究課題/領域番号 |
14330020
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
秋元 英一 千葉大学, 法経学部, 教授 (00064113)
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研究分担者 |
伊藤 正直 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (70107499)
雨宮 昭彦 千葉大学, 法経学部, 教授 (60202701)
浅井 良夫 成城大学, 経済学部, 教授 (40101620)
小野塚 知二 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (40194609)
梅川 正美 愛知学院大学, 法学部, 教授 (30135280)
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キーワード | 新自由主義 / 古典的自由主義 / 社会主義 / 計画経済 / 連帯主義 / 両大戦間期 / 第二次世界大戦 / オルド自由主義者 |
研究概要 |
理論面では、まず小野塚が「新自由主義」の名で呼ばれた思想潮流を、介入的・設計主義的自由主義と、個人責任型・非設計主義的自由主義に大別し、それぞれを背後で支えている人間観について検討した。その結果、前者を成り立たせているのが、「『弱く、劣っており、失敗する個人』の発見」であったことを明らかにした。これに対して後者の新自由主義の前提は、「強く、……自立できる個人」であり、介入的自由主義や社会主義が共有する設計主義的な人間観に対抗して広範な共鳴板を形成した。次に、土井は、ランゲの社会主義論、とりわけ、戦後故国ポーランドに帰国してからの社会主義論を代表する経済サイバネティックス論をとりあげ、それを批判的に検討することによって、新自由主義への対抗軸の再評価を試みた。政策面では、雨宮がドイツ・ナチス期の「リベラルな国家干渉」論の展開をとりあげ、1936-37年に刊行されたオルド自由主義者による「経済の秩序」叢書が、1930年代ナチスの経済再編を評価し、理論的な説明を試みた点を評価した。とくにF.ベームは、ワイマール体制を克服して市場価格形成の行われる「自由な交通経済」に政府規制を結合させた経済システム実現に向けたグランドデザインを構想した。それらは、1936年以降の第2次4カ年計画のなかで具体化されていく。フランスでは、廣田功が1930年代から1950年代フランスの新自由主義の捉え方にかんして、研究史の整理を行い、新自由主義の2つの類型(ディリジスト型と非ディリジスト型)の異同を追究し、フランス独自の社会経済状況と関連づけて、前者の類型が優勢となる理由を解明した。日本では、浅井が近現代日本(明治期〜第2次大戦後)の自由主義の系譜と特徴を検討した。とくに、政治的には自由主義者、経済的にはケインジアンであった石橋湛山に着目し、その思想を分析した。イギリスでは藤井が20世紀初頭の新自由主義思想の具体化といわれる個々の政策の財政的基礎について、問題提起した。
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