研究課題/領域番号 |
14330020
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
秋元 英一 千葉大学, 法経学部, 教授 (00064113)
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研究分担者 |
土井 日出夫 横浜国立大学, 経済学部, 教授
伊藤 正直 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (70107499)
浅井 良夫 成城大学, 経済学部, 教授 (40101620)
廣田 功 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (90055236)
永岑 三千輝 横浜市立大学, 商学部, 教授 (70062867)
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キーワード | 新自由主義 / ウォルター・リップマン / 新保守主義 / サッチャー / 市場志向型 / 連帯主義 / 社会主義 / 1990年代 |
研究概要 |
研究代表者の秋元は、権上康男によって「新自由主義の起源」とされた1938年のリップマン・シンポジウムに関連して、リップマンを含め、アメリカの新自由主義者と言われた人々が、1930年代の後期にまさしくニューディール的な介入国家をソ連やナチス国家と同視し、結果的に「アメリカにおけるリベラルの後退」(=すなわち、新保守主義の台頭)の淵源となったのではないかと問題提起した。イギリスのサッチャー政権による新自由主義を研究している梅川正美(研究分担者、以下同じ)は、サッチャーの市場優位が、熾烈な競争に明け暮れる企業家モデルを軸としており、労組や市民団体や地方自治体のような他方の主役の市場参加を排除したものであり、それらの自主性をどう取り戻すのかが、今日のイギリス政治の課題でもあると主張した。野内美子は、EUの共通農業政策(CAP)について報告し、それがしだいにEUとともに市場志向型になっていくと論じた。廣田明は、フランス第三共和制期に公認の社会哲学となった連帯主義の代表的理論家であるレオン・ブルジョワの二つの主著『連帯』(1896)と『社会的生活保障政策』(1914,1919)の分析を通じて、連帯主義が自由主義と社会主義との総合をめざした思想であり、その実践がフランスの福祉国家形成に重要な役割を果たしたと指摘した。永岑三千輝は、ホロコースト研究の見地から、ホロコーストが諸国家対峙のなかにおける、総力戦遂行の渦中で起きたように、新自由主義も世界の関係性のなかから捉える視点が必要だとした。伊藤正直は、1990年代日本の金融不安定について、(1)マネタリスト的見解、(2)ポストケインジアン的見解、(3)その他の見解の3つに整理して検討し、それぞれの理論的立場および政策的主張に、新自由主義的論理がどう反映しているかを紹介・分析した。
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