研究概要 |
本年は、当初の目標の内、まず、18世紀末から19世紀初頭の時点に関し、南インド、チングルプット県全郡のプレース報告のミーラーシー権に関する1万2千件のデータのデバッグを終え、統計処理を行った。それと共に、空間情報処理ソフトを用いて、空間単位別の地図を作成した。また、デバッグを終えたザミンダーリー制報告を利用し、19世紀初頭のチングルプット県全村の人口統計、土地利用統計、各種手当分配の情報などを分析し、空間単位毎の地図情報に変換した。第2に、19世紀後半に関し、チングルプット県ポンネリ郡の1877年の村落土地台帳の全村分の入力と、デバッグを終えた。それにより、統計処理と空間情報処理を進め、地図データを作成した。但し、村落の土地所有構造、カースト構造、ミーラーシダールとパッタダールの関係、村落のタイポロジーと地域タイポロジーなどの解析については、まだ十分になしえていない。1871年のセンサスの村別統計の分析は、その一部を終えた。第3に、現時点についての一部村落別統計を入手することができたので、その空間情報化を進めた。第4に、これらの統計的データを説明する記述史料の収集と解読のために、ロンドンの旧インド省文書館で資料調査を行った。その過程で、オクスフォード大学セントアントニー学部、ロンドン大学SOAS、ミュンヘン大学、インドのジャワハルラルネルー大学歴史学科を訪問して"Intermediaries, Structure, and Network in Eighteenth Century South India""From Mirasi to Patta : Changes of Social Grammar in South India between 1770s and 1870s"その他の題目で、本研究の成果をセミナーの形で発表した。また、台湾で開催されたアジア歴史学者会議のGISのセッションでも、"GIS Analysis of South Indian History between 1770s and 1870s"という題目の報告とセッションの司会を務めた。また、京都大学東南アジア研究所が主催する第1回地域情報学国際シンポジウム「地域研究におけるGIS/RSの可能性)では、「歴史情報の空間化に関する課題」と題する報告を行った。
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