研究課題/領域番号 |
14330023
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
石山 幸彦 横浜国立大学, 経済学部, 教授 (90251735)
|
研究分担者 |
矢後 和彦 東京都立大学, 経済学部, 教授 (30242134)
須藤 功 明治大学, 政治経済学部, 教授 (90179284)
西川 純子 獨協大学, 経済学部, 教授 (70076925)
米山 高生 一橋大学, 大学院・商学研究科, 教授 (00175019)
石坂 綾子 愛知淑徳大学, コミュニケーション学部, 専任講師 (40329834)
|
キーワード | 新自由主義 / ネオリベラリズム / 戦後資本主義 |
研究概要 |
今年度開催した研究会議および研究組織の各メンバーによる個別の研究を通じて、1938年のリップマン・シンポジウムにおいて定義づけられた「新自由主義」が、戦後のヨーロッパ統合の進展に多大な影響を及ぼしていることを、以下のように明らかにすることができた。 まず、1952年に設立されたヨーロッパ石炭鉄鋼共同体においては、石炭・鉄鋼共同市場の開設にあたって、新自由主義思想の色濃く投影された市場秩序の確立が試みられた。当初各業界はカルテルによる市場統制を目指していたが、上記の共同体による政策によって、より自由な取引システムの確立を迫られることになった。ただし、共同体による独占規制はカルテルを完全に排除することはできなかった。それは、新自由主義の中にもカルテルを容認する一派が存在したこととも関連すると思われる。 さらに、1970年代から始まり、今日の通貨統一につながるヨーロッパ諸国間の通貨協力においても、ヨーロッパ市場での自由化促進を目指す新自由主義的政策志向が見られた。そこでは、変動相場制への移行にともない、アメリカ・ドルの減価による影響を回避することが課題となっていた。そのために、ヨーロッパ諸国通貨間の交換レートを安定させることが重要であった。これを達するために、インフレ率や財政赤字を縮小させる新自由主義的な政策が各国で採用され、今日の統一通貨ユーロ導入につながることになる。 これらの成果は今後発表される論文に掲載され、来年度の研究計画に生かされることになる。
|