研究課題/領域番号 |
14330025
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
大森 弘喜 関東学院大学, 経済学部, 教授 (40103692)
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研究分担者 |
島 浩二 阪南大学, 流通学部, 教授 (90131490)
深澤 敦 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (40288618)
中野 隆生 東京都立大学, 人文学部, 教授 (90189001)
椿 建也 中京大学, 経済学部, 助教授 (50278248)
北村 昌史 新潟大学, 教育人間科学部, 助教授 (20242993)
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キーワード | 社会住宅 / 年金制度史 / 都市社会史 / 都市衛生 / 伝染病と住環境 / ジェンダー |
研究概要 |
今年度は3年の研究期間の初年度に当たるため、メンバー各位は主として資料の蒐集と読込みに専念した。研究代表者の大森弘喜は、京都大学医学部図書館に出張し、同館所蔵の『公衆衛生学および法医学年報』1829-1930の閲覧と複写に専念し、1883年度分までのサーヴェイを完了した。島浩二と北村昌史はそれぞれイギリスとドイツに出張し、文書館や大学図書館で住宅史関係資料の蒐集と閲覧に当たった。国内での研究会は、6月、11月、12月、3月の計4回を伊豆、京都、葉山、松本などで行った。6月の研究会では代表の大森が、本研究プロジェクトの枠組みと論点を提示した。要点は、福祉社会を形成するモメントは決して国家だけではなく、各種市民団体や労組にも目配りすること、国家が社会保障の分野に介入する場合には、介入の正当性や介入形態に着目し、国際比較すること、これらの違いを浮き彫りにするためには各種の国際会議を検討することの重要性を指摘した。この観点を銘記しつつ、各自が上記の研究会で研究報告をした。簡略に述べれば、大森はパリにおける公衆衛生の道程と社会保障の関わりを報告し、中野隆生はフランスにおける都市社会史研究の現状を、深澤 敦が同じくフランスの社会保護に関する研究サーヴェイを報告した。 外部からは、稲垣隆也君(一橋大学院)にお願いして、第二帝政期ベルリンにおける住宅問題を、破産補償という観点から報告して貰った。 また、我々の西欧史研究を相対化するために、日本史の研究者を招聘して研究会で報告して頂いた。すなわち、小野芳郎氏(岡山大学)には幕末から明治期にかけてのわが国の衛生史をレクチャーしてもらい、また名武なつ紀氏(東京大学)には、大阪都心部の土地所有構造の変遷と都市経済社会の発展との関連を報告して頂いた。これらの報告は西欧各国の特質把握には大変有意義であった。 初年度なので、まだ研究成果は充分には出ていないが、それでも中野隆生、深澤和子が著書(共著)を著わし、その他のメンバーも順次研究の成果を、論文に発表している。
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