研究課題/領域番号 |
14330026
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田中 素香 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (20094708)
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研究分担者 |
藤川 和隆 阪南大学, 経済学部, 助教授 (70261485)
岩田 健治 九州大学, 大学院・経済学研究院, 助教授 (50261483)
井上 伊知郎 九州産業大学, 経済学部, 教授 (80151603)
野内 美子 愛知県立大学, 外国語学部, 助教授 (90261487)
星野 郁 國学院大学, 経済学部, 教授 (30199476)
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キーワード | EU(欧州連合) / ユーロ / 国際通貨 / ドル本位制 / 逃避通貨 / 生産ネットワーク / OPT / 地域的国際通貨 |
研究概要 |
2002年にはユーロが選一流通に移行し、2004年にはEUの東方拡大(中東欧等10カ国のEU加盟)が具体化する。内外の研究者の中には、ユーロ域がアメリカ並みのGDPと金融資本市場を保有するところから、ユーロはドル並みの国際通貨となり、いわゆる2極国際通貨体制に発展すると考える人が多い。しかしその予想には疑問がある。本研究は中・東欧諸国のEU加盟を視野に入れて、ユーロの国際通貨としての発展を実物側と貨幣金融側から総合的に捉え、地域的国際通貨としてのユーロの性格を明らかにしようとするものである。 平成14年度にはサブグループの研究会、2度の全体研究会、および中・東欧諸国の実態調査を実施した。内容的には、(1)ドイツ・マルクとユーロの国際通貨としての比較、(2)EU=中・東欧再生産圏・生産ネットワークの形成過程、(3)EUおよび中・東欧における資金調達・投資通貨としてのユーロの役割、を中心に研究を進めた。(1)では、2001年4月に実施されたBISをとりまとめ役とする外為取引高調査からヨーロッパの地域的国際通貨としてのユーロをドルとの比較で明らかにした。ユーロの国際通貨機能はドルに大きく劣っていること、しかし中・東欧諸国通貨はユーロ圏に編入されていること、ユーロ自体はヨーロッパ地域の国際通貨であり、グローバルにはドルが不安定化したときの逃避通貨にはなりえても、ドルに対抗するような国際通貨となることは近い将来ありえないことを示した。また中・東欧を含めてEUの再生産圏、生産ネットワークの展開を、中・東欧への直接投資と貿易、自動車産業、繊維産業、金融セクターなどで明らかにした。またランファルシー委員会報告を基礎にユーロ金融・資本市場の整備についても、現段階の特徴を明らかにした。田中素香・藤田誠一編著『ユーロと国際通貨システム』(蒼天社、2003年4月)、岩田健治編著『ユーロとEUの金融システム』(日本経済評論社)が本研究関連の成果の集大成である。
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