研究分担者 |
伊地知 寛博 一橋大学, イノベーション研究センター, 助教授 (40344072)
山口 栄一 同志社大学, 経営大学院・設置準備室, 教授
馬場 靖憲 東京大学, 先端経済工学研究センター, 教授 (80238229)
矢崎 敬人 東京大学, 先端科学技術研究センター, 科学技術振興特任教員(常勤形態) (10345150)
鎗目 雅 東京大学, 先端経済工学研究センター, 助手 (30343106)
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研究概要 |
ナショナルイノベーションシステム(NIS)を研究フレームワークとして,産学連携を取り巻く一連の課題に対する調査研究を実施している。本年度は,東京大学の工学系(工学系研究科,生産技術研究所,先端科学技術研究センター)の教授,助教授を主たる対象として,次の3側面からの作業を行った。 第一に,教官による研究活動全般及び学外研究者との協力の実態と成果,またこれらの過去5年間の変化を把握するために,東京大学工学系の教官を対象に質問票調査を実施した(回収率57%)。協力活動は過去5年間に全般的に増加していること,協力の効果は協力相手の種類(大学か公的研究機関か大企業か中小企業か等)によって大きく異なること等が明らかになっている。なお,わが国のNISの全体像に更に接近するために,東京大学医薬系と他大学工学系の教員に対象を広げた質問票調査を実施中である。 第二に,教官の研究活動と協力活動の成果の客観的な把握のために,東京大学工学系教官が執筆し1992年から2001年までに主要学会誌に掲載された論文についての定量的分析を行った。この結果,(1)MITの電気・電子・機械系の教員を対象として行われた類似の分析と比較すると,東京大学の同分野の教官の論文数はMITのそれにほぼ匹敵するかやや上回っていること,(2)東京大学工学系教官の論文の共著者の所属機関を見ると,学内の割合が減少し,公的研究機関や外国機関の割合が増えていること,(3)民間企業との共著論文は,実数では増えているものの全体に占める割合は減少していること,等が明らかになっている。 第三に,特定の戦略産業分野についてより詳細に把握するために,東京大学藤嶋・橋本研究室の光触媒研究を事例として取り上げ,詳細な聞き取り調査と論文・特許のアウトプットの分析を行った。大学研究者が研究開発ネットワークのハブの位置を占めることの重要性が示唆されている。
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