研究課題/領域番号 |
14330037
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研究機関 | 長岡大学 |
研究代表者 |
原 陽一郎 長岡大学, 産業経営学部, 教授 (00300088)
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研究分担者 |
児嶋 俊郎 長岡大学, 産業経営学部, 助教授 (90225433)
鯉江 康正 長岡大学, 産業経営学部, 助教授 (30269550)
早川 博之 長岡大学, 産業経営学部, 教授 (90331537)
原田 誠司 那須大学, 都市経済学部, 教授 (90228643)
松本 和明 長岡大学, 産業経営学部, 専任任講師 (20320880)
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キーワード | 地域産業 / 中小企業 / 製造業 / 企業競争力 / 地域産業振興 / 地域格差 / 工業集積地域 |
研究概要 |
申請した研究計画調書記載の計画に従って、平成15年度の研究を進めた。すなわち、(1)産業関連統計による製造業の地域特性の解析、(2)第1次アンケート調査(市町村商工担当宛て)結果の解析と考察、(3)特定企業等に対する詳細調査(インタビュー調査)、(4)第2次アンケート調査の設計とアンケート調査の実施、(5)研究成果に基づく公開シンポジウムの開催などを行った。 当年度に得られた結果は次のように要約される。 (1)国勢調査、事業所・企業統計等の統計から地域(市町村単位)は6区分することができる。すなわち、(1)都市部工業集積地域、(2)都市部工業非集積地域、(3)中間部工業集積地域、(4)中間部工業非集積地域、(5)農村部工業集積地域、(6)農村部工業非集積地域。これらの地域は賃金水準、生産性、付加価値率、付加価値労働分配率等の指標で大きな格差がある。賃金水準は受注力と強い相関があり、受注力のもっとも強い都市部工業非集積地域の賃金水準はもっとも弱い農村部工業非集積地域のそれよりも50%高い。また、開業率と廃業率は都市部、中間部、農村部の順に高く、また、工業非集積地域の方が工業集積地域よりも廃業率が高い傾向がある。また、雇用カバー率を見ると、相対的に工業非集積地域の方が良い傾向がある。 (2)全国市町村商工担当者に対して各市町村の製造企業の状況に関するアンケート調査を行った。この結果、上記の6区分ごとの経営の特徴をある程度掴むことができた。最近の景況感は中間部工業集積地域がもっとも良く、中間部、農村部の非工業集積地域が悪い。倒産は非集積地域に多い傾向が、廃業は農村部非集積地域が少ない傾向がある。労働力の余剰感は中間部非集積地域で高い。新規顧客の開拓、新製品開発にもっとも積極的なのは都市部非集積地域、従業員の削減は都市部工業集積地域が少なく、賃金の切り下げは農村部、中間部に多い傾向がある。自社独自の製品を持つ企業は都市部工業集積地域と中間部非集積地域に多く、オンリーワン・ナンバーワン型企業は農村部には極めて少ない。中核企業を頂点とする階層的下請構造は中間部集積地域に多く、農村部非集積地域には少ない。都市部、中間部の工業集積地域には技術力、製品開発力に優れている企業が多い傾向が認められる。 (3)長岡地域(中間部工業集積地域)の製造企業の原点を探るために、明治期の創業者の事跡についての調査研究を行った。当年度は日本石油と内藤久寛、北越製紙と田村文四郎・覚張治平について分析し、いずれもが起業家精神に発し、長期的なビジョンと大きな構想力の下に地域の有力者を結集して事業化されて、今日に至っていることを明らかにした。
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