研究分担者 |
吉田 知行 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30002265)
齋藤 睦 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70215565)
西山 享 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70183085)
落合 啓之 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (90214163)
関口 次郎 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 教授 (30117717)
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研究概要 |
本課題研究では,実半単純リー群の既約許容表現に対応するハリシュ-チャンドラ加群について,そのべき零不変量や一般ホイッタッカー模型との間の相互関係を深いレベルで明瞭に解き明かすために,随伴サイクルの重複度を定める等方表現に焦点を絞って,ハリシュ-チャンドラ加群に対するべき零軌道理論を追求することを研究の主目的とした. (1)エルミート型実単純リー代数の特異ユニタリ最高ウェイト加群に対する等方表現を,PRV-成分への射影を用いて全て決定し,その既約性を証明した.また,等方表現を用いて,一方がコンパクトな簡約デュアルペアに関するHowe双対性定理の別証明を与えた.例外型EVIIの場合に,スカラー型でない(特異)ユニタリ最高ウェイト加群に対する等方表現が,Dvorski-Sahiが提唱しているHowe双対性の拡張を与えることを示し,当該等方表現と階数1のコンパクト対称空間上の調和解析を結びつけた. (2)既約な随伴多様体をもつハリシュ-チャンドラに対して,ある種の自然な仮定のもとで,等方表現をリーマン対称空間上の勾配型不変微分作用素の主表象を用いて書き下す一般的手法を確立した.これにより,離散系列に対する等方表現と旗多様体上の対称部分群による閉軌道の余法束上定義されたモーメント写像の一般ファイバーの間に,明示的な関係式を与えることができた. (3)上記モーメント写像の一般ファイバーを同定するために,対称対に付随したRichardson軌道の研究を行った.対称対に付随した放物型部分群は,その冪零根基の対称部分のRichardson元の集合に,推移的に働くかどうかは未解決であった.この推移性が成立するための良い十分条件を与えると同時に,A型の場合に反例を初めて構成することで,モーメント写像の一般ファイバーの構造について重要な新知見を得た.
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