研究課題/領域番号 |
14340004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
織田 孝幸 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (10109415)
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研究分担者 |
都築 正男 上智大学, 理工学部, 助手 (80296946)
刈山 和俊 尾道短期大学, 経済上法学部, 教授 (20123713)
伊吹山 知義 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (60011722)
菅野 孝史 金沢大学, 理学部, 教授 (30183841)
村瀬 篤 京都産業大学, 理学部, 教授 (40157772)
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キーワード | 保型形式 / automorphic forms / 球関数 / spherical functions / Whittaker関数 / Green currents / modular cycles |
研究概要 |
今年度は代表者の研究は球関数に関しては2件新たな結果を得た. 1.GL(3,C)の主系列表現のWhittaker関数の明示公式を平野幹氏(愛媛大)との共同研究で得た.極小K-typeに属するWhittaker関数の動径成分の級数解・積分表示(変形ベッセル関数によるEuler型のものとガンマ関数の多変数逆Mellin変換によるものの2種類)を得た.現時点では最高weightベクトルの部分しか証明が完結していないが、極小K-typeの部分は全ての成分を完全に明示的に決定すべく研究は継続中であり、数ヶ月中に全企画は完成の見通しである. 2.階数3の実シンプレクティック群Sp(3,R)のP_J主系列に属するwhitaker関数の明示公式の企画も内容は完成し現在平野幹・石井卓氏(千葉工業大学)のと共著論文を作成中である.級数解までの結果は日本学士院紀要に概要を既に発表した.その後石井氏が積分表示も発見した(九州大学の2月の国際集会で話したとき、ガンマ因子が8つでてくるこの積分表示は、マックス・プランク研究所のZagier教授にかなり強い印象を与えたようである). 3.都築正男氏(上智大学)とのmodularサイクルに関するGreen currentsの研究(高い余次元の揚合)も進行中である.Poincare'級数を構成する直前の段階までは分かった.大域的な部分が今後の課題である.今年(2006年)の秋までには、一つの段階は終了し論文を作成したい. 4.駒場の月例のセミナーは今年度後半はできなかった.代表者自身の研究は発展したものの、このセミナーも多忙を言い訳にせず、なるべく休まずに継続したい. また2006年正月、Tataの基礎研究所で、これらの研究の概要を講演した.今後、多変数保型形式研究の実質的な進展のための基礎となる結果と自負している。 <今後の課題>多変数保型形式の研究者は世界的に減少気味である.国内でもこれを専門とする大学院学生は東大・京大・阪大から出る人がほとんどである.我々の得た成果は表現論や多変数の超幾何関数の研究にも有益と思う.もっと情報を広める手段が課題である.周辺にいるPost-Docの諸氏(ドイツの成田宏秋氏、北大にいる学振の原下秀士氏、東大にいる谷口隆・軍司圭一の両氏)などの活躍も特記したい.
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