研究分担者 |
森下 昌紀 金沢大学, 理学部, 助教授 (40242515)
山田 美枝子 金沢大学, 理学部, 教授 (70130226)
伊藤 達郎 金沢大学, 理学部, 教授 (90015909)
村瀬 篤 京都産業大学, 理学部, 教授 (40157772)
早川 貴之 金沢大学, 理学部, 助手 (20198823)
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研究概要 |
1.Inner product formula(村瀬篤氏との共同研究) 楕円尖点形式の空間から、3次ユニタリ群U(2,1)上の正則尖点形式の空間へのliftは、Kudlaにより構成された(これはO(2,4)への織田liftの制限に本質的には一致する)。我々は前年度までの研究において、U(1,1)からU(2,1)へのliftとして定式化するとともに、像の原始的テータ関数展開を求めた。またその結果により、liftが消えないためめ条件をU(1)周期の言葉を用いて記述した。 今年度我々は、Kudla lift伴う内積公式を得た。U(1,1)上の正則尖点形式fのKudla lift像をFとしよう。Fの(Petersson内積に関する)ノルムが、fのノルムとfのL関数の1での値及び分岐素点における局所的な量を用いて記述される。これより、Kudla liftが消えないための前記とは全く別の判定条件が得られたことになる。なお、fのL関数の1での値は消えないと予想されるため、この条件は分岐素点での局所的情報が鍵となることを意味している。証明は、前年度に我々が構築したdual reductive pair(U(2,1),U(2,2))に関するSiegel-Weil formulaに基づく。 2.Jacobi形式からのテータリフト及び具体的構成 Kudla liftをJacobi形式からのテータリフトと認識することは、3次ユニタリ群上の正則尖点形式の具体的構成にとっても重要と考えられる。この見地から、虚2次体の類数が1の場合に、Jacobi Hecke環の同時固有関数が、3次ユニタリ群のHecke固有関数となることを示した。類数の制限を外すことを次年度の課題とする。また、3次ユニタリ群の保型形式環の決定に不可欠な次元公式を構築するための準備作業を開始した。既にテータリフトを用いた多くの具体的保型形式を構成済みであり、次年度以降に保型形式環の決定に取り組む。
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