研究課題/領域番号 |
14340009
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
齋藤 秀司 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (50153804)
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研究分担者 |
金銅 誠之 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (50186847)
松本 耕二 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (60192754)
藤原 一宏 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (00229064)
佐藤 周友 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助手 (50324398)
斎藤 博 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (80135293)
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キーワード | 代数的サイクル / 高次元類体論 / P進Hodge理論 / Hodge理論 / 高次Abel-Jacobi写像 / 混合モチーフ / Bloch-加藤予想 / Beilinson予想 |
研究概要 |
当該研究は次の3つの部門からなる。(I)高次元類体論、(II)数論的代数様体上の代数的サイクルのp進Hodge理論を用いた研究、(III)複素多様体上の代数的サイクルのHodge理論を用いた研究。 (I)高次元類体諭は高木-Artinにより確立された古典的類体論の高次元化とその応用を目指している。この理論の目指すところは数論的多様体のアーベル被覆を代数的K理論を用いて統制することで、幾何学的類体論とも言える。整数環上有限型スキームにたいする高次元類体論は当該研究以前に加藤和也氏との一連の共同研究により完全な形で完成することに成功した。高次元類体論はその後もp進Hodge理論などの数論幾何学の様々な理論を取り入れつつ展開し、世界的なレベルで研究が続けられている。この部門の成果として、Albert-Brauer-Hasse-Noetherの定理の高次元化に関する加藤予想の部分的解決、およびその応用として局所体上の多様体の類体論の完成が為された。 (II)代数体上の代数多様体のL関数の整数点での位数や特殊値に関するBeilinson予想やChow群の有限生成性予想がこの部門における基本的な問題である。これをp進Hodge理論などの数論幾何の様様な手法を用いて研究している。本年度の成果として次を得た。代数体上の代数多様体のChow群のねじれ部分の有限性予想に関するものである。このような有限性は代数体のイデアル類群の有限性の高次元化とみなされる重要な未解決問題である。一方、これとは別の重要な予想として多様体のレギュレーター写像の像をp進Hodge理論により特徴付けるBloch-加藤予想がある。この予想は上に述べたBeilinson予想とも関係が深い。当該研究では余次元2の場合にChow群のねじれ部分の有限性とBloch-加藤予想が本質的に同値であることを示した。さらにこの応用としてBloch-加藤予想を認めると余次元2のChow群のエタールコホモロジーへのサイクル写像の単射性が導かれることを示した。 (III)当該研究がこの部門で目指すところは、19世紀-変数複素関数論の金字塔ともいえるAbelの定理を高次元化することである。当該研究はこれまでBloch-Beilinsonによる混合モチーフの哲学的指導原理に従い、GriffithsのAbel-Jacobi写像を一般化する高次Abel-Jacobi写像の理論を構成し、GriffithsのAbel-Jacobi写像では捉えきれない様々な代数的サイクルをこれを使って捉えることに成功した。特に本年度の成果としては、Blochの高次Chow群にたいし高次Abel-Jacobi写像の理論を適用し、曲面の場合にその構造に関する新しい結果をもたらした。
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