研究分担者 |
秋吉 宏尚 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 特任助教授 (80397611)
和田 昌昭 奈良女子大学, 理学部, 教授 (80192821)
山下 靖 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (70239987)
大鹿 健一 大阪大学, 理学研究科, 教授 (70183225)
小林 毅 奈良女子大学, 理学部, 教授 (00186751)
|
研究概要 |
本研究で得られた主な研究成果は下記の通りである. 1.穴あきトーラス擬フックス群に関するJorgensen理論の整備. Jorgensenが開発した穴あきトーラス擬フックス群のフォード領域に関する理論は様々な研究者により興味を持たれていたのにもかかわらず,その結果と証明をきちんと述べた文献はなかった.そのなかで,秋吉,作間,和田,山下は,Jorgensen理論を整備し,完全な証明をつけた論文(257pages)を完成した.引き続き,穴あきトーラス擬フックス空間の外部への拡張,その応用としての2橋結び目の橋構造と双曲構造との間の関係の記述をきちんと書き下し,上の論文の続編として発表する計画である. 2.Epstein-Penner構成の一般化と凸核との比較. Epstein-Pennerは有限体積のカスプ付き双曲多様体Mに対してミンコフスキー空間内における凸包構成を通してMの理想多面体分解を構成した.秋吉と作間は,この構成を無限体積のカスプ付き双曲多様体に対するものへ一般化し,EPH-分解の概念を導入した.更にカスプ付き3次元双曲多様体のEPH-分解と折り曲げ線層の間には密接な関係があることを証明した.特に,穴あきトーラス群に関しては折り曲げ線層がEpstein-Penner分解を決定するであろうという予想を立て,和田,山下との共同研究によりいくつかの部分的解答コンピュータ実験を行った. 3.曲面束にたいするMcShaneの等式の類似の証明. Bowditchにより,双曲構造を持つ円周上の穴あきトーラス束のカスプトーラスのモジュラスを穴あきトーラス上の単純閉曲線の複素線長を用いて表示する公式が得られていた.秋吉宏尚,宮地秀樹,作間誠は,この公式を一般の(双曲構造を持つ)円周上の穴あき曲面束に対するものへ拡張した.
|