研究課題/領域番号 |
14340025
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
長友 康行 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (10266075)
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研究分担者 |
山田 光太郎 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (10221657)
伊藤 光弘 筑波大学, 数学系, 教授 (40015912)
大仁田 義裕 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90183764)
田崎 博之 筑城大学, 数学系, 助教授 (30179684)
高山 茂晴 東京大学, 数理科学研究科, 助教授 (20284333)
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キーワード | モジュライ空間 / ベクトル束 / 反自己双対接続 / 四元数多様対 / 表現論 / ツイスター空間 / ツイスター作用素 / 対称空間 |
研究概要 |
本年度は、平成14年度、15年度に引き続く研究であるツイスター方程式の幾何学とASD接続のモジュライ空間のコンパクト化との関連に関する研究を行った。まず、ツイスター方程式の理論をコンパクト四元数対称空間上の等質ベクトル束に適用して、「単連結コンパクトリー群の実表現の内で、主固定部分群が非自明であり、かつそれが可換群でも離散群でもない表現と横断的ツイスター切断の零点集合として得られるコンパクト四元数対称空間内の四元数部分多様体の同型類との間に一対一対応が存在する」ことが理解できていたが、さらに興味ある場合に関しては、「横断的でない」ツイスター切断の場合にもその零点集合を記述することに成功した。ここで興味ある場合と言ったのは、ASD接続のモジュライ空間が完全に理解できている具体例において、その構成法から自然に導かれるモジュライ空間のコンパクト化において現れる特異点集合つきの特異ASD接続の特異点集合が、完壁に上記ツイスター切断の零点集合と一致したためである。このようにASD接続のモジュライ空間を考察する上では、「横断的でない」ツイスター切断をも考慮にいれなければならないことが理解できた。 また、このようにASD接続のモジュライ空間を完全に記述することの重要性を認識できたため、さらにそのモジュライ空間の研究を進展させた。以前にコンパクトリー群の表現論を用いて、ASD接続の族を組織的に構成する研究を発表済みであるが、この「ASDの族」が完備であるかどうかは大きな謎であった。しかし、上記ツイスター切断がツイスター空間上では、正則切断に対応する(Penrose変換)ため、ホモロジー代数的手法、すなわちコホモロジーとスペクトル系列を用いることで、ASD接続の性質を解明できることがわかる。しかし、このとき、低次元の幾何学の場合と比較して、考慮すべきコホモロジー群があまりにも多いことがネックとなっていた。そこでこれも以前に行っていた、ASD接続を許容するベクトル束のコホモロジー群に関する消滅定理を再度考察し、結果として、「最も一般的な」消滅定理を得ることに成功した。これはただちに応用可能な消滅定理であり、上記ASD接続の族の完備性を示すことのできる場合が格段に増えた。そして、これらの場合でも、コンパクト化において現れる特異ASD接続の特異点集合を調べてみると、ツイスター切断の零点集合と一致するのである。なお、これより、その特異点集合が代表するホモロジー類のポアンカレ双対がASD接続を許容するベクトル束の特性類であることも示すことができた。なお、トポロジーを考慮したときにツイスター切断のノルムの2乗という関数は興味深い関数であるが、このヘッセ行列を計算することにも成功した。
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