研究分担者 |
鎌田 聖一 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60254380)
小森 洋平 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (70264794)
河内 明夫 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00112524)
大山 淑之 東京女子大学, 理学部, 助教授 (80223981)
中西 康剛 神戸大学, 理学部, 教授 (70183514)
|
研究概要 |
量子不変量の一つであるリンクス-グールド(LG)不変量に関する研究を主におこなった.これは,大阪大学大学院博士課程の石井敦との共同研究である.まず第一に,LG不変量は非常に強力な不変量で,実際,10交点以下の結び目をすべて分類することができる.しかし,石井の発見したスケイン関係式を使って,LG不変量を共有する結び目,絡み目の構成法を見出した.この構成法は,以前,カウフマン多項式を共有する絡み目を構成した方法から類推したもので,そのために,これらの絡み目はカウフマン多項式やホンフリー多項式をも共有する.この方法を利用して,LG不変量を共有する2本橋結び目,2本橋絡み目を多く発見した.これらの2本橋絡み目はさらに2変数のアレキサンダー多項式をも共有する.さらに,LG不変量は結び目の両手性を判断することにすぐれているが,この方法を利用して,LG不変量で両手性を判定できないような結び目を構成した.すなわち,ある結び目とその鏡像が同じLGを共有するような素な結び目の例を発見した.しかし,それらが同位でないことを示すためには双曲体積をコンピュータで計算するという方法を取らざるを得なかった.第二番目に,LG不変量とカウフマン多項式の関係を調べた.リンクスとグールドはこれらの不変量において変数変換を施して得られる共通の1変数多項式の存在を示唆したが,その正確な変数変換を与えた.その結果,カウフマン多項式の結果を使うことにより,LG不変量から交代絡み目の交点数を知ることができることなどがわかった. この他に,カウフマン多項式の係数多項式についての結果を与えた.すなわち,以前,絡み目のホンフリー多項式の最初の係数多項式が,真の部分絡み目のホンフリーの係数多項式と絡み数で与えられることを示す公式を与えたが,同様な公式をカウフマン多項式に対しても与えた.これらの研究については,現在,論文を投稿中,あるいは準備中である。
|